高級カジュアルウエアと雑貨のセレクトショップ、アンソロポロジーのウエブサイトで、ブリキ缶のごみ箱が99.95ドル(約1万2000円)で販売されており、レトロなインテリア用品として話題を集めている。
「ウエストビレッジの波型ブリキ缶」と名付けられたこのごみ箱は、50年前まで市内で実際に使用されていた蓋付きのブリキ缶と同型のもので、蓋の持ち手はロープ製と木製の2種類から選べる。
このレトロなごみ箱について、ニューヨーク市清掃局政策企画室の元責任者ベンジャミン・ミラー氏は「台所や暖炉であらゆるものを燃やしていた時代には、ごみのほとんどが灰だったため、ごみ箱としてブリキ缶が使用されていた。しかしブリキ缶は重く、回収する清掃局員にとっては重労働だった」と歴史を振り返る。
さらに1968年には清掃局員がストライキを行ったため、市内でごみ箱が売り切れ状態となったが、化学品メーカーであるダウ・ケミカル社が、当時開発したばかりの樹脂製のビニール袋をごみ袋として提案し、市民に無料で配布した。その後この便利なごみ袋は瞬く間に売り上げを伸ばしたため、ブリキ製のごみ箱は廃れていった。
一度は街から消えたブリキ製のゴミ箱も、50年経った今、アンソロポロジーによっておしゃれなインテリア用品として見事に蘇ったというわけだ。