クイーンズ区に住むイスラム教徒の女性が、本人の許可なくヒジャブ(頭を覆う布)を着用している姿を撮影されたうえ、ヒジャブに否定的な新聞記事にその写真が掲載されたとして、ニュース配信社のAP通信のカメラマンと新聞社のワシントン・ポストを提訴した。
訴状によれば、フィフィ・ユーセフさん(22)は2015年12月に、スターバックスで休憩中の姿をAP通信のカメラマン、マーク・レニハン被告に無断で撮影され、その写真は本人の許可なく同社のデータベースからワシントン・ポストへ販売された。ニューヨーク州法の市民権の侵害に当たるとしている。
写真が掲載された記事は、宗教の壁を越えて女性の連帯を呼びかける運動「ヒジャブをかぶる日」に反対する内容であったため、ユーセフさんは「宗教的信条を侵害され、自分の姿を本人の意図とは無関係な記事に利用された」と苦情を申し立てている。
同州法では、ニュース媒体や芸術家に対し、ニュースとしての価値や芸術表現が認められる場合に限り写真の無断使用を認めている。しかしユーセフさんの弁護士は、「ヒジャブを着用した女性がスターバックスで休憩する姿に、いわゆるニュース価値がないことは明白だ」と述べている。