大塚 洋一(Gulliver USA) 車の豆知識 第44回「戦車、買えます。」

「戦車、買えます。」

 先月のコラムでは1月末ごろからは大雪に見舞われるかも?と書きましたが、先週末は本当に巨大ブリザード「スノージラ」が来てしまいましたね。車をお持ちの皆様は運転にさぞ気を遣われたことでしょう。そこで今回はどんな雪でもものともしない、〝最強の中古車〟の買い方をご案内します。
 それは「戦車」です。そう、あの戦車。実は、戦車は個人でも合法的に購入できるのです(ただし、新車ではなく相当使い古されたクラシックスーパーカーです)。詳しく言うと、重量45トン、5インチ砲を装備したロシアの主力戦車T-72の話です。現在でも第一線の装備であり、ロシアには現在でも約5000台が配備されているそうです。
 取り扱っているのは残念ながらガリバーではなく、チェコ共和国内にあるディーラーで、戦車のほかにも、攻撃ヘリ、戦闘機、自走榴弾砲、水陸両用歩兵戦闘車、装甲人員運搬車、そして移動式ミサイル発射トラックと、あらゆる装備を入手することができます。その全てを民間人が、記念コインと同じくらい合法的に入手できます。
 戦車のお値段は本体でおよそ5万ドル。ローンは使えませんので現金一括払いです。注文時のデポジットは30%。送料は2万ドル程。実際に動かしたいというのであれば、整備代が別途必要です。中古車ですのでボディのキズ・凹みは現状渡しで、現実的にノークレーム・ノーリターンです。とはいえ、このキズ・凹みは戦歴の勲章ですし、プラモデルではわざと汚したり傷つけたりして臨場感を出しますので、完成されたレプリカとしては完璧です。もし、このキズ・凹みを直して新品同様に見せたいという場合は、鈑金修理費用で別途3万ドルほど必要です(ただ、取り扱ってくれる鈑金屋さんを見つけるのが至難の技ですが)。
 戦車がやって来るまでに、次の4つを済ませておいてください。まず、書類作成。アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(Bureau of Alcohol, Tobacco, Firearms and Explosives、略称:ATFまたはBATF、BATFE)から火器や弾薬、軍事用品の輸入申請許可証を得る必要があります。それから、米国商務省による国際輸入証明書も必要です。修正第2条(「規律ある民兵は自由な国家の安全保障にとって必要であるから、国民が武器を保持する権利は侵してはならない」)があるとしても、マシンガンを取り外し、大砲に穴を開けなければ戦車の発送はできません。また、米国農務省の要請に適うよう、土はきれいに拭き取っておいたほうが良いでしょう。これは野菜などを海外から持ち込めないのと同じですね。
 さらに問題となるのは、燃費です。2368立方インチのV12エンジンは、1マイルあたり2ガロンのディーゼル燃料を喰らいます。また、これで米国の公道は走れない(次のガソリンスタンドまで到着できない)ため、事前に十分な広さの私有地を購入しておくことをおすすめします。


プロフィール
大塚 洋一
2004年に(株)ガリバーインターナショナル入社。対企業向けのコンサルティング営業部スーパーバイザーを経て、06年に直営店舗事業部へ転属。日米で店長を経験し、15年2月より米国代表に(NY店店長兼務)。豊富な知識と丁寧な接客に定評あり。緊急時や時間外も対応で心強い。
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