出産後に解雇された設計士の女性が、妊娠したことで不当な扱いを受けたとして、勤務先の設計会社をマンハッタン区の連邦裁判所に提訴したことが分かった。
フランス人建築家、ティエリー・W・デスポン氏が経営する同区の設計会社に設計士として4年間勤めていたドミニク・ムーアさんは昨年、妊娠したと伝えた直後から職場で不当な扱いや差別を受け、“子育てで忙しい女性従業員”として昇進の道を閉ざされたと主張している。
コンピューターのエラーによりムーアさんが偶然入手したというEメールによると、ムーアさんが妊娠して間もないころ、上司のルイス・ゴンザレスさんが助手に、ムーアさんを批判する内容の文面を送っていたという。そのメールには、ムーアさんが重い家具を運べないことや現場でのマスク着用を求めたこと、動作が遅いことについて、また産休期間中には連絡を取ることが困難だったなどの不満が記されていたという。
昨年10月に職場復帰した際には、主要設計士として指揮を執っていたフランス・パリの5つ星ホテル、リッツ・パリスの改装工事で重要な職務から外され、ゴンザレスさんと直接言葉を交わすこともなくなったという。
ゴンザレスさんの上司に直訴したところ、「家庭に問題があることは知っている」と言われたムーアさんは、「家庭に問題はない。赤ちゃんがいるだけ」と答えたが、ほかの従業員のEメールを閲覧し、プライバシーを侵害したとして、2週間後に解雇された。