スイング時の体重異動のコツ
こんにちは。ティーチングプロの宮崎です。僕は今、日本に出張中なのですが、日本でレッスンをしていてよく質問されることについて、お話させていただきます。その質問とは、「たくさん体重移動をした方がもっと飛びますよね!?」という内容です。
このような質問をする人は、(右利きの場合)バックスイングではしっかりと体重を右足に乗せ、ダウンスイングからフィニッシュまで左足に体重を乗せていくようなスイングのことをいっているのでしょう。日本にはそのようなスイングをしている人たちがとても多いのですが、僕にはそれが彼らの上達を阻んでいるように感じます。人は誰でもクラブを振り上げる時に自然と体重移動をします。しかし、そこから必要以上に体重移動をしてしまうと、うまくスイングできないのです。どういうことか考えてみましょう。
こちらの男性のトップの形(図1)を見てみましょう。トップで体重がしっかり両足に乗っています。体重移動を推奨するコーチからすると、100点満点のフォームに違いありません。しかし、体重移動をしすぎるゴルファーは、ダウンスイングからいくつか問題が出てきます。それは、
❶体重を左足に移しきれなくてダフってしまう
❷体をうまく回転できない
❸スライスしやすい軌道でスイングしてしまう
といった具合です。❶に関してはとてもテクニックがいることなので、初心者や中級者にとっては難しいです。体重が右足に残ったままボールをヒットしても、やはり飛びません。❷に関しては、体の横ブレが大きければ大きいほど体自体も回転し、軸ごと動いてしまうので、回転スピードは落ち、その結果スイングスピードも落ちてしまいます。❸に関しては、右足に少しでも体重が乗ってクラブを振った場合、ほとんどの人がボールが右に曲がっていく弾道(カット軌道)になってしまいます。もしボールに前に進む推進力ではなく、曲がる力の方が大きくかかってしまった場合、やはりボールは飛びません。ですので、どのようにしたらこれらの問題をクリアできるかを、提案したいと思います。
それはトップでの体重配分を右足50:左足50にするように意識してスイングするだけ! これだけで、いろいろな変化が現れます。図2はトップできちんと右足と左足の体重配分が50:50になっています。ここから彼のダウンスイング以降の体重の移動具合をみてみましょう。
図3の比較写真では、2人とも腕が同じ位置にきた時、左の人は両足の体重配分が均等なのに対し、右の人は、左足に体重移動をし過ぎているのが分かります。左の人は、体の横ブレが小さくなったことにより踏み込んだ後の運動連鎖が適切に行われ、体の回転スピードが上ります。そのままダウンスイングで左足に少しでも体重を乗せてスイングすると、クラブヘッドの軌道はドローヒッター特有のインサイドアウトというものになります。これがきちんとできたら、ボールがスライスして距離を落としてしまうという可能性も低くなるわけです。
ほかにも、「踏み込みの力の大きさと飛距離は関係がない」というリサーチの結果も出ていますので、僕の場合、体重移動を積極的にしましょうという教え方をあまりしていません。
皆さんもぜひ、トップで右足と左足の体重配分が50:50になるようなスイングをして、体重移動の少ないスイングを身につけましょう!
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Biography 高田洋平
DPT, CFMT, OCS, SCS, CAOPT,ゴルフを中心としたスポーツリハビリを学びたいと渡米。コロンビア大学でDoctor of Physical Therapy(理学療法学•博士号)を取得。現在Func-Phsyotherapyのオーナー。 ゴルフリハビリの資格:TPI(Titleist Performance Institute) Medical Profession‐Level Ⅲ。
USGA Handicap: +0.3
連絡先/yt@funcphysio.com
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Biography 宮崎 太輝
NY市立大学大学院で Exercise Science & Rehabilitationを専攻し、効率よく新しい身体の動きの習得を促すために運動学習を研究。東京でプロやインストラクター、トレーナーに向けてゴルフスイングや指導法の講習を行った経験を持つ。現在はMosholu Golf CourseとWestchester Driving Rangeにてレッスン活動を行う。
連絡先/taikim@motorlearningolf.nyc
TEL (516)-467-6699