さよなら、ブルックリン 変わる、古き良き地域の景観

29日、ブルックリン区ダウンタウン・ブルックリンの伝説的なダイナー、ジュニアズの横に建設される予定の「9デカルブ・アベニュー」の詳細が発表された。高さはおよそ1066フィート(約325メートル)で、これが完成すれば同区で最も高い建物となり、地域住民からは、「この区の良さが失われる」といった声が上がっているという。
昨今の発展が著しいニューヨーク州都市交通局(MTA)のアトランティック・アベニュー駅から数ブロックのアパートメントに約10年住んでいる日本人女性は、「ここ数年の建設ラッシュで、地域の景色の変化が顕著。あと数年で全く雰囲気の違う場所になっていくだろう」と述べた。
ブルックリン区が、こんなにも“ヒップでクールな住むところ”になる以前は、金銭的などの事情でマンハッタン区に住めない人たちが住むところとされている時代があった。しかし、ただ高い家賃を払えないから仕方なく住んでいるのではなく、この区独特のどこかのどかだったりする、地元感が確かに存在した。そして、よく聞かれたのは、「ブルックリンの空は広い」。見下ろされるような圧迫感のあるマンハッタンと違う、広がりを感じさせた空は、ニューヨーカーの留まることを知らない需要と供給に反比例するように失われていく。

SHoP Architectsのウェブサイトより