近年の和文化ブームや健康志向の高まりで、ニューヨークでも特に目覚ましい抹茶ブーム。そんなかつてないブームをけん引するのは、2013年4月にオープンしたIppodo Tea, New York。京都の本店は創業1717年という約300年も続く老舗だ。昨年は抹茶イヤーとも呼ばれ、カジュアルに抹茶を楽しめる店がますます増えているが、そんな中、Ippodo Tea, New Yorkは、本物のお茶の文化で客人をもてなしている。
京のもてなしをそのままにNYでお茶の真髄を伝える
マンハッタン区ミッドタウンのビジネス街から少し離れたところに、和の門構えの建物が目に入る。中に入ると、ニューヨークであることを忘れてしまいそうな洗練された和の設えに迎えられる。その半地下の入り口には、昼下がりにハイセンスなニューヨーカーたちが吸い寄せられるように入ってきて、対面式でお茶を点ててくれるアイランドタイプのカウンターでお茶をオーダーする。ランチ後の一杯はコーヒーではなくお茶なのだ。
一保堂は、当初からニューヨークに出店の事業計画があったわけではなく、ご縁で呼ばれたと、マネージャーの加藤吏一郎さんは話す。京都で付き合いのあった「京生麩の専門店 麩嘉(ふうか)」が、ニューヨークに精進料理店「嘉日(かじつ)」を出店したのが08年。その同じ建物にあるテナントの一部でお茶を販売しては、と声をかけられたことが始まりだったという。
店内には美しい茶道具や茶筒が整然と並ぶ。物販と同時に好評なのが、持ち帰り用の数々のドリンクメニューだ。特に人気のフレーバーは抹茶の中でも飲みやすい「Usucha(4・25ドル)」だという。それ以外にも「Matcha Soy Latte(4・25ドル)」や、夏季限定の「Matcha Slushy(4・25ドル)」など充実したラインナップを提供している。
客層の8割はローカル客で、日本人は2割ほど。肩ひじ張らずにお茶を楽しもうと、お茶文化に親しむローカルのお客さんが多いという。また、その中には日本茶を飲むことがワンランク上の趣味という感覚で、グレードの高いお茶を購入していく人も多いという。そんなこだわりの客層に向けて、「久遠(くおん)~Eternity~(20グラム45ドル)」というニューヨーク店限定の抹茶が4月より発売される。奥深い甘みとクリーミーさが、これまでの抹茶の概念を覆す逸品だ。
お茶と楽しむこだわりの和スイーツ
また、新しい試みの1つとして以前より要望が高かったフードが登場。Ippodo Tea, New Yorkに隣接する日本料理屋Kokage by Kajitsuがプロデュースする「The Anko Butter Sandwich(3・80ドル)」が2月から発売されている。丁寧に炊かれた甘すぎないあんこと、ほんのり温かいパンから香る芳醇なバターは、これまで食べたどのあんバターサンドとも一線を画すクオリティだ。その場で食べても良し、もしくはギフト用パッケージ(4個15・2ドル~)は大切な人への贈り物にも喜ばれること間違いない。
Kokage by Kajitsuのほかに、同テナントの階上にある姉妹店「嘉日(かじつ)」でも、料理と一緒に一保堂のオーセンティックなお茶から、「抹茶スパークリング」などのオリジナリティあふれるドリンクメニューも提供しているので、料理と一緒にゆっくりお茶を楽しみたい人はこちらもおすすめ。
外国で生活していると、本当においしいお茶を味わえる機会は限られている。ニューヨークで忙しく過ごす日々の中で、ふと本物のお茶が恋しくなったら、Ippodo Tea, New Yorkを訪れてほしい。香り高い日本茶にほっとするはずだ。
Ippodo Tea, New York
212-370-0609
125 E 39th St(bet Lexington & Park Ave)
火〜日: 11am-7pm
年末年始: 通常営業
www.ippodo-tea.co.jp/shop/ny.html
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