Vol.45 NTPグループ (名古屋トヨペットグループ) ネッツトヨタ名古屋㈱ ㈱トヨタレンタリース名古屋 代表取締役社長小栗成男さん

日本において独自の文化とエネルギーを持つ地域、東海地方で異彩を放つ経営者がいる。現在、複数企業の経営者である傍ら、世界を股にかけて日本文化の普及などの活動も行うのは、カリスマディーラーとしても名高い小栗成男さん。そんな彼のポリシーをまとめた著書「オグリズム―今日から人生が変わる黄金のルール―」、そしてその英語版「OGURHYTHM」はともにベストセラーとなっている。ニューヨークでのベストセラー記念サイン会のため来米した小栗さんにインタビューを行った。(インタビュー日時:2016年3月14日)


Profile:小栗成男(おぐり しげお)
1963年生まれ。日本最大規模のトヨタ自動車販売会社であるNTP(名古屋トヨペット)グループのオーナーファミリーとして生まれ、現在、ネッツトヨタ名古屋㈱、㈱トヨタレンタリース名古屋の社長も兼任する。クールジャパンの日本アンバサダー役として、第10回「酒サムライ」を叙任するほか、テノール歌手「世歌勳(sekai)」としても活躍中。

自動車業界の異端児が世界に発信する“人間力”

―2013年に発売以降、ベストセラーとなっている著書、「オグリズム―今日から人生が変わる黄金のルール―」ですが、どのような経緯で出版されたのでしょうか?

 トヨタ自動車販売店でセールスをしてきたのですが、執筆のきっかけは、販売台数はもとより、その日のうちに契約をもらう確率が高かった私の業績がトヨタ自動車の目に留まり、秘訣を教えてほしいと言われて1996年にマニュアル化したことが始まりです。すると次は、業界紙の日刊自動車新聞から車業界全体でも使えるように加筆して出版したいという依頼がありました。トヨタでも、ほかのブランドで も通用する内容としてアレンジし、そこには〝オグリズム〟いう名を冠して自分のポリシーを書いたのですが、それがベストセラーになりました。

―その後、英訳されたのですね?

 はい。今度は書店大手である丸善の出版部門から英訳して海外で売りたい、という依頼がありました。ちょうど2020年の東京オリンピック開催が決まった時だったので、「おもてなし」や日本の文化、武士道の精神などの話を入れ、大幅に加筆をしました。日本人が将来どうあるべきか、を書いているのですが、英訳本もベストセラーとなり嬉しい限りです。

 ―英訳本に要素を加える上で、どのようなことを心がけられたのでしょうか?

 日本人の良さ、繊細さを伝えたかったです。例えば欧米のドアと日本のの違いに例えると、その繊細さが分かります。ドアだったらノックして入りますが、襖だと中にいる人の話を聞いてはいけないと思ったら、前で一度咳払いをするんですね。中にいる人に気付かせて、そこで初めて「よろしいですか」と声をかけ、静かに襖をすっと開けて入るんです。欧米のノックに比べると非効率的かもしれないですが、それが日本のおもてなしの心を表しているのです。

トークショーの様子

―なるほど。ほかにはどのようなエピソードが盛り込まれているのでしょうか?

 第2章では、出身大学である同志社大学を作った「新島襄」先生のことを書いています。日本の私学の礎を作った方です。同志社大学は私にとってはとても大きな存在で、米国留学時に同志社の先輩に助けてもらった経験もあり、大学で生まれた縁はかけがえのないものだと実感してますね。それ以降大学の普及活動をしています。

 ―紀伊國屋書店ニューヨーク本店でのトークショー&サイン会はいかがでしたか?

 約70名ほどのお客様がいらっしゃり、皆さま私の話を興味深く聞いてくださいました。私自身が16年前にニューヨークに住んでいた経験もあるので、ジャパニーズカルチャーの素晴らしさもそういった視点で認識しています。その感覚を踏まえ、私が日本で受けてきた教育や、培ってきた経験を「OGURHYTHM」と通じて紹介できました。トークショーでは、2013年にアカデミー賞へ招待されたエピソードにも触れ、大変盛り上がりました。

―その後に開催された会はいかがでしたか?

 日本クラブで行われた会は、160人以上の方々に集まっていただき、盛大に行われました。この会の主旨は「OGURHYTHM」ベストセラーの祝賀会なのですが、それと同時に、クールジャパンにおける國酒アンバサダー役として日本酒の普及や、中部地方から世界に通じる「匠の技」を知っていただく機会にもなりました。

オペラ楽曲 「道化師」 を歌い、美声を披露する世歌勳さん

 ―こちらの会も盛り上がりをみせていましたね。

 日本クラブで行われた会は、160人以上の方々に集まっていただき、盛大に行われました。この会の主旨は「OGURHYTHM」ベストセラーの祝賀会なのですが、それと同時に、クールジャパンにおける國酒アンバサダー役として日本酒の普及や、中部地方から世界に通じる「匠の技」を知っていただく機会にもなりました。

 ―この先の目標は?

 19年までにカーネギーホールでコンサートを開きたいですね。あとハリウッド映画に出たいです(笑)。そのためにはロサンゼルスでもこの本を出版して、ベストセラーにしたいと思っています。そして今回ニューヨークで開いたような会を開きたいです。

 ―今後、ご自身の経験を生かしてやりたいことなどはありますか?

 現在、自身のポリシーを後継したいと思い、定期的に「シゲオアカデミー」というセミナーを開催しています。いずれは、新島襄先生のように、自身のアカデミーを作りたいですね。そのアカデミーを世界中に作って、同じスピリットを持つ人を育てるのが夢です。