23日付のCBSニューヨークによると、ベルギーの首都ブリュッセルで22日に起きた同時テロを受け、米次期大統領選共和党指名候補の1人であるテッド・クルーズ上院議員がイスラム教徒居住地域での警備強化を求めたことについて、ニューヨーク市警察(NYPD)のビル・ブラットン本部長は出演した番組で不快感を示した。
2011年に起きた同時多発テロ後、NYPD諜報部はイスラム教徒居住地域での情報提供者の勧誘や、イスラム教寺院やイスラム教徒の学生のグループへの捜査官潜入などにより数百人を調査するなど、積極的な対テロ活動を行っていた。しかしクルーズ上院議員は、ビル・デ・ブラシオ市長は市民の命よりも差別撤廃を重視し、これらのイスラム教徒監視計画を中止したと訴えている。
これを受けブラットン本部長は、23日朝に出演したテレビ番組「CBSディス・モーニング」で、「私の下ではNYPDの警官や元警官を含む数千人がこの国と市民の安全のために働いている。彼らを軽んじるとは不名誉だ」と述べ、憤りをあらわにした。これを聞いたクルーズ上院議員は、本部長の発言を「政治的だ」とし、「国民は敵と戦うことよりも人種差別の撤廃を重視するオバマ政権にうんざりしている」と反論した。
03年に開始された同計画は、宗教および人種差別的な取締だとの批判を受け、14年に中止された。当局は、同計画は成果がなかったと認めている。