24日付のゴッサミストによると、ニューヨーク市内の賃貸物件の多くは、賃料のおよそ15%の手数料が発生することがあるが、それはニューヨーク市とごく限られた都市特有の商習慣であるという。
米国の多くの賃貸物件は、不動産業者が介在する場合は手数料はオーナーが払うことになっている。一方、ニューヨーク市では借り主が手数料を払うという慣習が古くからあり、これは全米では市とマサチューセッツ州ボストンを除き、ほかにほぼ例がない。アパート検索サイトのレントホップによると、これらの街では家主が不動産の所有するにもコストがかかること、また賃貸物件の需要が高く、供給とのバランスが取れていないことが原因だという。
大都市ニューヨークでは、ほかの都市に比べて空き室率が非常に低く、常にごく少数の賃貸物件を奪い合うような構図になっている。条件の良い物件は、地元の知り合いや、不動産関連事業者の身内などにわたってしまうことも多い。それでもこの街の賃貸需要が減るわけではなく、忙しく働いて“時間は金で買う必要がある”ことを心得ているニューヨーカーたちは、不動産業者を仲介して手数料を支払い、物件を探している。“その点における需要と供給”は皮肉にもバランスが取れており、家主は仲介業者を使って借り主の候補を審査する時間と労力を節約している。物件に対する需要は過多だから、さらに借り主に手数料を払わせることに成功しているのだ。
住めば都というが、それが没落したような都であったりするのがニューヨークという場所。完璧な住まいを求めて、誰もが受けるのが、ニューヨーク不動産の洗礼だ。