Dr. 石谷三佳 なるほど!ザ・カイロ 毎月第1月曜号掲載 VOL.63 肩を痛めた方へ―  回旋筋腱板損傷

 突然肩が上がらなくなったり、転倒やスポーツなどで肩の関節を痛めた方、諦めないでください。なるべく早く治療をすることで回復を早め、後遺症を防ぐことができます。
 冬の間は何も運動をしていなかったのに、気候の良くなるこの春の季節、スポーツを再開する方はとても多いですね。準備運動や身体作りもせずにスポーツを始めると体を痛める結果になりますが、特にこの時期多い症状は〝肩の故障〟です。特に、回旋筋腱板損傷(かいせんきんけんばんそんしょう)と呼ばれる肩の損傷が多いのですが、それは、肩周りのインナーマッスルである、「SITS」という4つの筋肉グループ、棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)、小円筋(しょうえんきん)を損傷する一般的なけがです。この筋肉グループの一部もしくは全体の組織を傷つけることで肩の痛みを伴います。スポーツのケガや転倒などで起こりやすい肩のけがです。さらには、四十肩を放っておいて余計な負担がかかった時にもなる可能性がありますので、早めの治療が必要です。悪化した場合は損傷を治す手術が必要になります。
 回旋筋腱板損傷を細かく分けると、挫傷、腱炎、および部分断裂または完全断裂があります。回旋筋腱板は、SITSの大きな4つの筋肉グループのことを指しますが、この4つの筋肉の主な動作は、腕を頭の上に上げるような動作、例えば、ボールを投げる、水泳のクロール、重量挙げのような動き、テニスでサーブを打つような動きで、肩甲骨と上腕骨を安定させながら動きをつけるための働きをさせます。このような動作で負担がかかり過ぎた時に障害が起こりますが、それは筋肉の損傷、靭帯の損傷、または腱の炎症から部分的な断裂や最悪な場合は完全断裂が生じます。
 腱の炎症の場合、通常は棘上筋腱と呼ばれる関節部分の腱の摩擦によって生じることが多く、関節部と腱の付着部分の血流が乏しいために影響を受けやすいのが特徴です。結果、この炎症反応から炎症が拡大してさらに進行が進まってしまいます。進行を阻止しなければ、腱炎から筋膜炎までに及び、時に部分断裂、さらには完全断裂にも至る恐れが出てきます。
 これとよく似た症状で変性性の回旋筋腱炎と呼ばれるものもあり、これは同様の理由で特に40歳以上でスポーツとは関係なく発症する場合が多くあります。
 薬や注射で痛みを取り去るのではなく、根本から自然治癒させたい方、ぜひカイロプラクティックを受診ください。必ず原因を追究し、肩を回復することができるはずです。


Dr. 石谷三佳
石谷カイロプラクティッククリニック院長。パーマーカイロプラクティック大学院卒後、ハーバード大学医学部専門課程終了。米国、米国小児、ニュージャージー、日本カイロプラクティック協会会員も務め、2008年には「Chiropractor of the Year」を受賞。寄稿著者に“Neck Pain…
You Don’t Want It, You Don’t Need It”がある。

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