医療委任状とは
米国では委任状は一般的に「Power of Attorney」と呼ばれます。この委任状で指名されると、代理人はお金の管理をはじめ、広い範囲で本人の代理として行動することが可能です。しかし、医療の判断に関しては医療委任状(Health Care Proxy)が別途必要になります。医療委任状とは、がんなどの病気の末期状態や、本人の意識がなくなり回復の見込みがない場合、また、意識はあっても脳への大きな損傷により判断力の回復が見込めない場合などの際に、代理人が本人の意思の通りに医療方針を決定することができるものです。医療委任状の代理人は必ずしも血縁者である必要はなく、婚姻関係のないパートナーや友人がなることも可能です。
リビングウィルとは
医療方針を決めるという重大な決定には、本人の意向をはっきりさせるために、医療委任状と一緒に、本人の終末医療に関する方針を記載したリビングウィル(Living Will)を作成することが一般的です。
リビングウィルには、積極的な延命治療をするかどうか、呼吸器や食餌のチューブについてはどうするか、また痛み止めや抗生物質の使用などについて、本人の希望を明記します。特に食餌のチューブを拒否することに関しては、ニューヨーク州では本人のはっきりとした意思表示が必要ですので、リビングウィルに明記することが重要です。 医療委任状、リビングウィルはともに、作成時に本人に判断力があることが必要です。必要な書類はオンラインでダウンロード(内容については専門家にご確認ください)、あるいは病院やナーシングホームでも入手できますが、作成時には弁護士のアドバイスを受けることをお勧めします。
今月のお店
About Coffee
71 Sullivan St
(bet Spring & Broome St)
街路樹の並ぶ通りにある、SoHoの小さなカフェ。外にも座れるスペースがある。
飯島真由美 弁護士事務所
mciijima@iinylaw.com / www.iinylaw.com
1350 Ave. of the Americas, 2nd Floor (at 55th St.)
NY州認定弁護士。法政大学文学部、NY市立大学ロースクール卒業。みずほ銀行コンプライアンス部門を経て独立。2010年に飯島真由美弁護士事務所を設立。家庭法、訴訟法、移民法など幅広い分野で活躍中。趣味はカフェ巡り。