「fuhgeddaboudit」という言葉を知っている、もしくは自分も使う、という人はニューヨーカー度高し。知らない人はこのまま口に出して発音してみよう。「フゲッダボウディット」。その通り、「forget about it」だ。「忘れちまえ」「まあ忘れてよ」といった意味で使われるこの言葉、ニューヨークとニュージャージーの一部の人々がよく使う表現で、特に“ブルックリン言葉”などとして知られている。このfuhgeddabouditが今週、オックスフォード英語辞書に仲間入りを果たし話題となっている。
辞書によると、意味は「思っていた展開にはならず、予想外のことが起きたときに使われる表現」とのこと。また「『foggetaboutit』とも表すが、どちらも正式な綴りではない」とされている。「forget about it」自体はごく普通の英語で、日常生活はもちろん、テレビドラマや映画の中で登場することも珍しくない。中でも、これを多用するのがイタリア系米国人だといい、1880年代以降に多くのイタリア人が移り住んだブルックリンで耳にすることが多い、というわけだ。ニューヨークが舞台のイタリアンマフィアが出てくる映画での登場率が高いのも、分かる。
辞書よりも早く、このフレーズに目を付けたブルックリンのマーティー・マーコウィッツ前区長は、同区を離れる際の「さようなら」のあいさつにfuhgeddabouditを使うことを提案し、既に同区の出入り口となる橋などの標識にこれを表示させている。区のブランディングとともに、ブルックリンというスペシャルなエリアに来たことを実感できる粋な演出だ。
実際にどのように使われているのか、アッパーウエストサイドに住むイタリア系米国人のダニーさんに聞くと、「I’m sorry」に対し、「Forget about it(気にすんな)」などと返すのがそれっぽいのだとか。ちなみに「ちょっと下町っぽい表現」なのだそう。
最近はネット用語やアニメ文化から生まれた言葉が新しく加わることもあり、世相を映す鏡とも言える辞書。次に加わるブルックリン言葉は、どんなフレーズになるのだろうか。