29日付のメトロ・ニューヨークによると、ニューヨーク市は、ヘロインなどの静脈注射薬物常用者が専門家の管理下で薬物を摂取する注射施設の開設を、検討しているという。
市議会は、予算の10万ドル(約1010万円)を注射施設の研究のため市保健衛生局と分割する見通しであり、市は、エイズ撲滅予算から捻出する560万ドル(約5億6600万円)で施設開設が実現可能かどうかを確認する。市議会衛生委員会のコリー・ジョンソン委員長は、「世界中でこのような注射施設の開設が、医療費の削減、HIVやBまたはC型肝炎感染率や薬物過剰摂取による死亡件数の減少に効果をもたらすことが分かっている」と述べた。
同様の施設は、ヨーロッパやカナダで導入されているが、カナダ人研究者の調査によると、施設の開設後、バンクーバー市での薬物過剰摂取による死亡率が減少したという。ワシントン州シアトル市は全米で唯一、注射施設の開設を進める都市で、オピオイド拮抗薬であるナロキソンの常備などさまざまな対策や手法を発表している。
注射施設の開設を支持する団体は、注射針の使い回しが減り、麻薬使用者と精神衛生専門家とをつなぐ懸け橋になると話す。