19日付のニューヨーク・デイリーニュースによると、17日にクイーンズ区で行われたニューヨーク市警察(NYPD)の退職説明会に、予想をはるかに上回る参加者が集まったという。
退職説明会は年4回開かれ、通常250~300人が参加するが、今回は853人という異例の数字だったという。これは、NYPD警官のモラール(士気や風紀)がいかに低くなっているかを示している。勤続15年の警官は、「抱えるストレスと命を捧げる仕事の割には、賃金は冗談かと思うほど安い」と嘆く。また、勤続14年の警官は、「安全が最も懸念される問題。危険は過去の比ではない」と訴える。
NYPD警官の勤務条件を取り巻く環境は厳しい。近年、コミュニティーとの関係は悪くなる一方で危険はますます増え、また、市長との契約交渉は暗礁に乗り上げている。交渉に当たる巡査慈善協会のパトリック・リンチ代表は、「尊敬のかけらもない」と市の対応に憤る。また、「事態を解決する方法は、仕事に見合った賃金に上げること」と述べている。
市側は、こうした不満に対し、NYPD警官の賃金は全米平均の146%だと反論し、正当性を主張しているため、溝は埋まりそうにない。