米国では従業員を解雇する際に、雇用主がSeverance Package(解雇手当)を支給することが多く、大手企業ではこれが一般的となっています。しかし法的にはSeverance Packageを支給する義務はなく、支給額やそのほかのベネフィットの内容についての決まりも特にありません。他企業での支給額や待遇はあくまで参考程度となります。ただし従業員との雇用契約にあらかじめ含まれている場合は、その契約に基づきます。また、それ以外にも40歳以上の従業員の場合は法的に守られている事項があります。
40歳以上の従業員に手当を支給する場合は、雇用者は書面に以下のような内容を盛り込んで従業員に説明する必要があります。支給する手当の内容、またそれに同意することによって何が起こるかを明確にすること(特に同意することにより、年齢による差別も含んだクレーム放棄にもなることをはっきり説明すること)、内容について弁護士と相談するようにアドバイスをすること、また提示した日から21日間の検討期間を設け、書面にサインをした後も7日間の考慮期間も設けること(*)などです。
なお、提示条件に同意すると、従業員は雇用主に対する一切のクレームを放棄することになるので注意が必要です。書面にサインをした後に支給額が低すぎる、または雇用主を訴えたいという相談を時折受けますが、手当を受け取った後に同意を覆すことは非常に困難ですので、サインをする前に十分考え、可能であれば同意する前に雇用者と条件の交渉をすることも大切です。また書類をよく読まなかった、英文のために内容が理解できなかった、というのは正当な理由になりませんのでご注意ください。
*会社や雇用状況により検討期間や考慮期間は異なります。
今月のお店
Smile Newsstand
177 Franklin St(bet Hudson & Greenwich St)
トライベッカの小さなカフェ。テイクアウトが主だが数人座れるスペースもあり。
飯島真由美 弁護士事務所
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NY州認定弁護士。法政大学文学部、NY市立大学ロースクール卒業。みずほ銀行コンプライアンス部門を経て独立。2010年に飯島真由美弁護士事務所を設立。家庭法、訴訟法、移民法など幅広い分野で活躍中。趣味はカフェ巡り。