2016年に日本人が陥ったロスは、「五代ロス」に始まり、「逃げ恥ロス」に終わったが、本当に注目すべきは「食品ロス」の方である。
日本政府によると、食品ロスとは「まだ食べられるのに、捨てられている食べ物」と定義している。日本では、1日平均で1人がお茶碗1杯分を捨てている計算になるという。この巨大な国、米国も例外ではない。2016年12月19日付けのハフィントンポストによると、「米国での食べ物の浪費問題はかなり深刻で、生産された食品のうち、およそ40%の食べ物が手を付けずに廃棄されている」というのだ。そして、この記事で紹介されているのが、そういった問題解決の糸口になる(かもしれない)アプリケーションの誕生だ。
名は、「フードフォーオール(FoodForAll)」。仕組みはシンプル。ダウンロードしたアプリから、ログイン後に近くや希望する登録レストランの(このままだと捨てられてしまう)“残りもの”をメニューからチョイス。定価の50~80%引きの価格で提供され、オンラインで支払いを済ませる。あとは、取りに行くだけ。それが、捨てられる運命だったことを除いては、レストランの「ピックアップ」と同じだ。
豊かな国とされている米国の、こうした食品の浪費が問題となる一方で、およそ6世帯に1世帯が、日々の食事に困窮する状態で、飢餓にあえいでいる。その貧富の差は広がりの一途をたどり、浪費というごみが増えれば、地球の環境はもっと汚染されていく。よって、捨てるはずのものを食べる→ごみが減る→レストランも助かる+安く提供される食べ物の恩恵を受ける消費者もいる→環境が良くなるという良い循環が生まれると、このアプリは提唱する。だから、名前が「フードフォーオール」=全員に食べ物を。食べられる人と食べられない人の差をなくし、世界の皆に食品が行き渡り、ロスをなくそう、というわけだ。
一番気を付けなければならないのは、自分たちがごみを生んでいる感覚をなくす「意識ロス」かもしれない。(ヤマダエビス)