25日付のニューヨーク・タイムズによると、小児科および精神科医であり、メンタルヘルス分野のパイオニアと呼ばれた黒人女性医師、フィリス・ハリソン=ロス氏が、肺がんにより16日、亡くなっていたことが分かった。80歳だった。
同氏は、発育、情緒的および身体的な障がいを持つ子どものためのリハビリや治療方法を考案した先駆者で、医師と患者をつなぐテレビカウンセリングの導入や、遠隔地にある刑務所の受刑者との面会が困難な、ニューヨーク市を含む都市部に住む家族とをつなぐテレビ面会を、先頭に立って促進していた。
同氏はまた、1973~99年の間、マンハッタン区イーストハーレムにあるメトロポリタン病院のコミュニティー・メンタルヘルス・センター所長および精神科部長を兼任、76~78年の間は米黒人精神医学会の会長を、また、リチャード・ニクソン大統領政権下では薬物乱用防止諮問委員を務めるなど、35年間にわたり全米のメンタルヘルス分野で活躍した。
2001年の同時多発テロと05年のハリケーン・カトリーナの発生後、仲間を集め、異教徒間の災害支援サービスを提供し、天災や人災により精神を病む患者のための支援ボランティアの代表も務めた。