26日付のニューヨーク・タイムズによると、中国の著名芸術家で人権活動家のアイ・ウェイウェイ氏による、フェンスをモチーフにした作品がニューヨーク市内で今秋展示されることが分かった。
これまでも難民キャンプに残された物を使うなど、社会性の高いテーマの作品を手掛け、芸術を通して社会の現状を訴えることで知られるウェイウェイ氏の新作は、マンハッタン、クイーンズ、ブルックリン区など市内各所に展示される。「ベルリンの壁が崩壊したとき、国境に壁を設置していた国はわずか11カ国だったが、2016年にはその数が70カ国にまで増えている」と話すウェイウェイ氏はこの作品について、「ナショナリズムの風潮が高まり、本来の良さである自由さが消滅しつつある最近の米国社会に対する訴え」と説明した。
10月に始まる予定の同展示は、パブリック・アート基金の支援を受けて開催される。「これまで関わってきた展示の中で最も大規模な作品で、われわれにとっても大きな挑戦となる」と同基金のニコラス・ボーム代表は話す。シャーレーン・マックレイ市長夫人も、「米国の根本にある多様性を見つめ直す良い機会になるだろう」と期待を寄せる1人だ。