【8日付ニューヨーク・デイリ-・ニュース】 人権団体ニューヨーク自由権組合(NYCLU)の報告書によれば、昨年ニューヨーク市の公立校で危機介入を理由に、市警察(NYPD)の学校保安係官が手錠を掛けた生徒の99%がアフリカ系またはヒスパニック系だったことが明らかになった。
昨年、危機介入で手錠を掛けられた生徒は262人で、アフリカ系またはヒスパニック系は259人だった。公立校の全生徒のうちアフリカ系は27%、ヒスパニック系は41%であることから、これらの生徒が他人種と比べてより危機介入の対象になる傾向にあることが分かる。
この場合の危機とは、生徒が何らかの感情的苦痛や錯乱を示す状態になることで、生徒を教室から連れ出し、その後、病院でカウンセリングを受けさせることが定められている。場合によっては学校保安係官が生徒に手錠を掛けて対処することもある。
危機介入に人種的偏りがあると感じる生徒は少なくない。学校保安係官に対する保護者からの苦情は年間200件以上寄せられており、対処自体を問題視する声も出ている。
NYCLUの責任者は「生徒に手錠を掛けることは、『学校は生徒にとって安全で支援的な学習の場であるべき』とする基本的理念と相反する」と危機介入を批判している。