【10日付NY1】ニューヨーク市の公立学校で移民に英語を教える認定講師が大幅に不足し、早急な対策が求められている。
市で英語の授業を受けている児童や生徒は約150万人いるが、世界史を教えるブリット・フレムスタッドさんによると、米国に移住してきたばかりの児童や生徒らの中には英語が分からないどころか、自分の母国語の読み書きさえままならない者もいるという。英語が分からない児童や生徒に歴史や化学、微積分学などを修得させることは極めて困難であり、英語の授業を受けていた児童や生徒の昨年の卒業率はわずか31%だった。
ニューヨーク州は2年前から公立学校の英語講師に州の認定書所持を義務付ける規定を設けたが、フレムスタッドさんのように英語教授法の修士号と州の認定書を所持する講師の数は需要に追いついていない。市教育局(DOE)は今年300人の英語講師の増員を計画しているが、専門家によると、実際には数千人規模での増員が必要だという。
マンハッタン区のバンク・ストリート・カレッジ・オブ・エデュケーションは今秋から、認定英語講師を育成するための新たな学位取得プログラムを開始する。同カレッジのシャエル・ポラコウ=スランスキー学長はプログラムの目的を、「英語講師を増員することだけでなく、移民問題に直面する今、トランプ政権の移民政策に対抗するため」としている。