摩天楼クリニック「ただいま診察中」 アレルギー大全 【5回シリーズ その3】花粉症

花粉症

admin-ajax (2)
梨花女子大学医学部卒業。ニュージャージー医科歯科大学でアレルギー免疫学フェローシップ修了。にきび治療、にきび、にきび痕の除去、アトピー性皮膚炎や食物・動物アレルギーの治療、化粧品や化学物質によるかぶれや腫れなどの治療が専門。
Holy Name Medical Center
718 Teaneck Rd, Teaneck, NJ
Tel: 201-833-3000 www.holyname.org

 前回は、ニューヨークを拠点に30年間アレルギー患者の治療に当たっているユン・シーン先生からニューヨークとその近郊で飛散する花粉の種類、花粉症と風邪の見分け方、花粉症の緩和方法について教わった。今回は、お薦めの市販薬を紹介する。

お薦めの市販薬
 どんなに防止策を講じても、空気中を自由に飛び回る花粉は容赦なく私たちの生活圏に入ってくる。やむなく花粉症を発症してしまった場合、数ある薬品の中から何を使ったら良いのだろうか?
「花粉症の治療薬として主に使われるのが、くしゃみ、鼻水、目のかゆみを引き起こすヒスタミンの作用をブロックする抗ヒスタミン薬です。経口薬や点鼻薬、点眼薬があります。経口薬では、眠気や口の渇きといった副作用が出るのが問題でしたが、最近ではそれらを軽減する「第2世代」の抗ヒスタミン薬が出回っています」と先生。「Claritin」「Allegra」「Zyrtec」「Xyzal」などのブランド品でnon-drowsy(眠気防止)表記のある薬を使うのが良いとのことだ。
 点鼻薬では「Flonase」「Nasonex」「Nasacort」などステロイド系の薬が処方せんなしで買える。炎症を抑える効果はそこそこあるが、重症の場合は、医師と相談して「Astelin」や「Dymista」といった点鼻薬を処方してもらった方がいいそうだ。

根治目指すアレルギー免疫療法
 「花粉症アレルギーはもううんざり、根本的に治したい」という患者には「アレルゲン免疫療法=immunotherapy」がある。これは上記の治療薬を使う対症療法とは全く別の考え方。日常生活で取り込まれる量を上回るアレルゲンを体内に注入することで、IgE(先週号を参照)とアレルゲンの結合を妨げるIgGなどの抗体を増加させる。つまり、免疫反応そのものを変えてアレルギー反応をなくす治療法だ。アレルゲンの注入には皮下注射(痛みを伴う)と舌下注入(無痛)の2種類あるが、いずれも長期間にわたる注入が必要で、多忙な人や根気のない人には向かない。しかも、アナフィラキシーという副作用が現れる可能性もあるので、医師との十分な相談が必要だ。
 原因も明確で、飛散情報もますます正確になった花粉症。対症治療薬は進化して副作用が減り、免疫療法の効果も上がってきた。こうした状況を冷静に把握して向き合えば、花粉症との闘いにそう悲観することもないような気がしてきた。
 次回は、最近、頻繁に耳にする「食物アレルギー」について聞く。
(次週に続く)
health03

health02

health01