イラン政府関係ビルを差し押さえ 米国の制裁に反するとの判決

 【6月29日付ブルームバーグ】マンハッタン区の連邦検事局南部地区は6月29日、イランの財団が保有するビルが対イラン制裁違反に当たるとして、米政府による差し押さえを許可した。
 5番街に立つ問題のビルは、イランに拠点を置く慈善団体、アレビ財団が保有していたが、同財団は実質イラン政府によって管理されていることが判明した。米政府は1995年以降イラン政府に対し制裁を科しており、イラン政府が米国内で利益を生む取引などを行うことは禁止されている。そのため、ジュン・キム検事は、イラン政府とつながりのある団体が同ビルを保有することは違反に当たると判断、「米国史上最大級の民事没収事件だ」と述べた。
 2009年にはビルの60%を所有していた同財団がイランの最高指導者、アリー・ハーメネイーによって仕切られていたことも判明している。
 今回の事例では第1回目の裁判から9年後に差し押さえが実現。米政府は5億ドル(約560億円)で建物を売却し、そこから得た収益をイラン政府が関係したテロ事件の被害者に見舞金として贈る予定だとしている。一方で、同財団の弁護士はイラン政府とのつながりはないと主張している。

5番街と52丁目の角に立つ問題のビル (photo: Takehiro Takahashi / 本紙)

5番街と52丁目の角に立つ問題のビル (photo: Takehiro Takahashi / 本紙)