ニューヨーク・ファッションウィーク(NYFW)は7月10日のメンズデイよりスタート。この日を皮切りにニューヨークの街が一層華やかさを増し、マーケットウィークへとバトンタッチします。
ヨーロッパに比べ、比較的落ち着いたNYFWのショーの中でも、毎回印象的なコレクションを発表し続ける日本発のメンズウエア。セレクトショップを中心にその関心が年々高まる中、毎回のファッションウィークでランウェイを展開し、テーマ性を大胆に打ち出す「N.ハリウッド」に注目が集まっています。クリエイティブディレクターの尾花大輔氏による独自の世界観と、また毎回モデルを現地でスカウトするというアイデアも、作られた「ファッションショー」にあえて一石を投じるかのよう。
昨シーズンの重ね着を誇張したストリートスタイルがとりわけ話題を呼びましたが、今シーズンは打って変わって、「ジョン・F・ケネディー」をテーマに展開。レタードカーディガン、トレンチコート、スタジャン、スエットシャツ、シングル/ダブルブレステッドのスーツなどアイビー調のアイテムを長めのレングスと太めのシルエットでオーバーサイズに仕上げ、テーラード、ストリート、モード、アメトラといった既存の枠を自由自在に行き来したかのよう。その大胆なカッティングに尾花氏の遊び心ある表現力を垣間見ることができます。その分、あえてコレクション全体のカラーパレットを淡いグレーの中に収め、差し色もパステルトーンのレインボーカラーに。絶妙なオーバーサイズ感も、ギークっぽさの残る素人モデルが着用してこそ、その個性が際立ち、都会的な「ハズシ」としてひとつにまとまリます。下記のウェブサイトではランウェイの動画を公開中。フロントローにいる臨場感をぜひ味わってみてください。
photos: Satoshi Motoda
N. Hoolywood www.n-hoolywood.com
フリー・ジャーナリスト
Aya Komboo
日本では数々の出版社で経験を積み、フリーランスへ転身。2006年よりロサンゼルスへ渡米し、現在はニューヨークを拠点にファッション/カルチャー誌などで活躍している。