METが紀元前のつぼ返還 窃盗品の疑い強まり

 【1日付NPR】メトロポリタン(MET)美術館はこのほど、窃盗品である疑いが強いつぼをマンハッタン区の地方検事局に引き渡した。
 問題の素焼きのつぼは、ワインを薄める際に使用されていたもので、紀元前350年ごろに作られたとみられる。ギリシャ神話に登場するブドウ酒の神であるディオニューソスが描かれていることもあり、ギリシャもしくはローマ帝国時代の発掘物とされている。2014年に考古学者のクリストス・シロジアニスさんがアート・クライム・ジャーナルに寄稿した記事によって初めて、問題のつぼが逮捕歴のあるアートディーラーが所有していたものと似通っており、盗まれた可能性があることが指摘された。
 「米国の捜査当局にこの事案を報告したところ、1970年代に発掘場所であるイタリアで盗まれていた疑いが強いことが発覚した」とシロジアニスさんは話している。MET側は記事が公開された2014年から、つぼをどう取り扱うのかイタリアの文化庁と話し合ったとしており、数カ月前に検察庁から連絡があった際にはすぐに展示を取りやめたという。
 METは1989年に9万ドルを払ってサザビーズからつぼを購入したと説明している。

The Metropolitan Museum of Art

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