夏が終わり、学校が始まる季節になりました。夏の旅行シーズンの数週間に患者さんから「先生、旅行に持参する抗生物質の処方せんを出していただきたいのですが」という依頼を受けました。依頼した患者さんのカルテをチェックすると、詰め物が必要な歯や神経治療が必要な感染症のある歯、治療を始めていない歯がありました。患者さんたちは旅行に行く寸前や航空券を購入した後に「旅行中にもし歯や歯茎が痛んだらどうしよう?」と考えだし不安になるようです。
「リー先生、旅行に持参する抗生物質の処方せんを出してください。歯以外にも風邪などに使え、安心して旅行に行けますから」と言われることがありますが、抗生物質は何にでも使用して良い薬ではありませんし、全ての病状に効くわけではありません。抗生物質の乱用は深刻な事態を引き起こしてしまうこともあります。
抗生物質は体が細菌感染と戦うのを手助けしますが、ウイルスを殺すことはできません。インフルエンザや風邪から出る咳を止めることもできません。抗生物質は全ての細菌感染に効くわけではなく、戦える細菌は限られているのです。
抗生物質の乱用は細菌感染を悪化させてしまう場合もあります。抗生物質の服用は限られた期間のみです。指示通りに服用しなければ、細菌がより強い力を得て生き残ってしまう場合もあります。また正しく服用しないと次回の服用の際に抗生物質の効き目がなくなってしまいます。体調が回復しても服用を止めず、指示通り決められた期間服用してください。古い薬や他人に処方されている薬も服用してはいけません。抗生物質は常備薬ではありませんから、医師に不必要な抗生物質の処方を依頼してはいけません。
抗生物質の作用中は悪い細菌を殺すだけではなく、場合によっては良い細菌(腸内などにある)を殺してしまうこともあります。良い細菌が殺されてしまうと他の病原菌が成長してしまいます。抗生物質の処方を必要とする場合は、必ず医師に服用の際の効果やリスクをきちんと聞き、指示通りに服用しましょう。
旅行の寸前に歯の心配をしなくて済むように、歯の検診、治療は旅行の前に済ませておきましょう!健康で安全な旅行を!
Waterside Dental Care
Dr. クララ・リーClara Lee, DDS
ニューヨーク大学歯学部卒業。ニューヨーク大学ブルックデール病院ではチーフレジデントを経験するなど、20年に及ぶ臨床経験は、一般歯科、コスメティック、インプラントを含む。インビザライン認定医。Waterside Dental Care医院長として古山医師とともに、多くの日本人患者を治療。Dentistryをこよなく愛している。
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