語学学校でアドバイザーを務める石井麻紀子さん。一緒に暮らす2匹の愛犬、ショーグン(ショーン)とシンバについて聞きました。
石井麻紀子さん(キャンパスエデュケーション・マンハッタン校アドバイザー、クイーンズ区在住、NY在住6年)
——ショーンとの出会いは?
話は私が生まれて初めて飼った犬、サムライ(サム)にさかのぼります。ジョージア州にいたころ飼っていたサムは8歳のときに鼻腔がんで亡くなりました。火葬にふすためペットの斎場に行き、待っている間もずっと泣いている私の気分を晴らすために、パートナーのブライアンがすぐ近くのシェルターに連れて行ってくれたんです。他の犬を見る気持ちになんか、とてもなれなかったんですが。
泣きながらシェルターのドアを開けたら、最初のケージにいた犬が、「僕がサムだよ」と訴えかけてきたんです。私もブライアンもこの子はサムだと感じて、迷いなくその子をもらって帰りました。
——ショーンはどんな性格ですか?
すごく我慢強い子で、他の犬に吠えられても絶対に吠え返しません。私もブライアンもうっかりご飯をあげていないと夜中に気がついたときも、黙って寝ていました。洋服や雪靴もサムのお下がりですが、文句ひとつ言いません(笑)。
——シンバとの出会いは?
ショーンのためにもう1匹欲しいと思っていたので、ノースショアのシェルターにときどき通っていました。そこではタイのミートファーム(野良犬を食用品に加工している工場)から子犬をレスキューする活動をしていて、そのイベントで出会ったのがシンバでした。まだうちに来て4カ月ですが、お調子者でマイペースです。写真を撮るときも、ショーンはみんなの中に入って来るのに、シンバは呼んでも動かなくて、自分のペースを守っています。
——2匹の「ご対面」はうまくいきましたか?
全然だめでした。ショーンは無言の抵抗でご飯も食べず、じゅうたんにおしっこをしました。でもシンバが来て3日目にドッグランに行ったとき、怒り狂ったように走り出し、ボールをくわえて持ってきて、ニカッと笑ったんです。きっとシンバを受け入れたんでしょう。その日から2匹一緒にベッドに寝るようになり、以来ベタベタです。
——石井さんにとってショーンとシンバの存在は?
私にとって彼らは「生きる意味」です。私は彼らのために生きています。サムの魂がショーンに入り、それをシンバが吸収している。それをつなぐ作業をすることが、私の生きる意味かな、と思います。
彼らは100%私のことが分かっていて、私も100%彼らのことが分かっている自信があります。言葉がなくても分かり合え、完全に私たちはつながっているというハッピーな感覚を日々感じています。この子たちに出会わなければ、この感覚を知らずに生きていたと思います。
【 教えて!シンゴ先生 】
アニマルシェルター/動物病院のヒューメインソサエティー・オブ・ニューヨークで獣医師として活躍する添田晋吾先生にペットの健康について聞きました。
添田晋吾
1995年山口大学農学部獣医学科卒業。2000年に来米し07年に米国獣医師免許を取得。ヒューメインソサエティー・オブ・ニューヨークに勤務する傍ら、東洋と西洋の医学を併用し、老犬のペインコントロールやQOLの向上を目的とした獣医療にも取り組む。
Q ペットの肥満は大きな問題ですが、その判断方法と対策を教えてください。
A アメリカでは現在、「ペットの犬猫の50%以上が肥満またはその傾向にある」と指摘されています。
人と同様、ペットの肥満はメタボリック症候群になることが問題です。肥満傾向の判断には、ボディ・コンディション・スコア(BCS)を利用するとよいでしょう。これは体型を9段階評価するもので、1はガリガリ、9はおデブ。理想体型は4〜5で、触ったときにペットの肋骨が皮膚の下に感じられ、上と横から見てウエストのくびれが自然にできている体型です。去勢や避妊手術を受けたペットは比較的体重が増加しますが、それが理由で肥満になることはなく、一番の原因は過剰なカロリー摂取と運動量の低下です。
私はまず家族全員で、与えている食べ物を全て書き出すことをお勧めしています。すると意外におやつをたくさん与えていることが分かります。おやつは必要摂取カロリーの10%未満が目安ですが、おやつやテーブルフード(人間の食べ物)を完全にカットするか大幅に減らして、1カ月後に体重を計って確認します。いつも同じ体重計を使い、急激なダイエットにならないように注意してください。同時にBCSも確認しましょう。
体重が落ちない場合は、食事を減らしたり低カロリーのものに変えてみましょう。特に猫の場合は、ドライフードをやめて缶フードにするだけでも効果があります。それでも体重が落ちなければ、獣医師に相談しましょう。体重を減らす処方食を与えることもできますし、犬の甲状腺機能低下症のような体重が増える病気が見つかることもあります。
次回は肥満が引き起こす病気についてお話します。