【23日付ニューズウィーク】ニューヨーク市では今後、暴風雨の頻度と洪水の被害の規模が増大していくことが、米国科学アカデミー紀要が23日に発表した「気候変動の影響によるニューヨーク市の沿岸洪水危機」から分かった。
同研究は、2012年10月に米東部を襲ったハリケーン・サンディから数カ月後に開始、将来起こり得る暴風雨による浸水被害の度合いについて調査した。同アカデミーは、今後約20年間に、1800年以前は500年に1度しか起きなかった浸水深7フィート(約2メートル)以上の洪水をもたらす大規模な暴風雨が、5年に1度の頻度で起きると予測している。
この結果を受け、コロンビア大学ラモント=ドハティ地球観測研究所で気候変動への適応を研究するクラウス・ジェイコブさんは、「市は、今後数十年間に焦点を当てるよりも、数世紀後における理想的な市の姿を想定し、そのための洪水緩和対策を模索するべきだ」と述べた。
低地のマンハッタン区南端を洪水から守るため、巨大な堤防で取り囲むビッグU計画やブルックリン区のゴワナス運河を防壁で囲むなどの策が現在進められているが、ジェイコブさんは「全ては、短・中期の対策でしかない」と警鐘を鳴らしている。