Vol.55 ラッパー SKY-HI(スカイ・ハイ)さん

太陽のように、空高く−。日本の音楽シーンから飛び出し、世界へと舞台を広げるラッパー、スカイ・ハイが10月18日の上海公演を皮切りに、アジア、米国、ヨーロッパを回る初のワールドツアーを開催している。11月15日にはニューヨーク公演を控えるスカイ・ハイに意気込みを聞いた。(10月12日、インタビュアー:竹内由佳/本紙)

© Hata Satoshi

2005年、AAAのメンバー日高光啓としてデビュー、同時期からソロ名義「SKY-HI」として都内クラブなどで活動を開始、ソロでは13年にメジャーデビュー。15年から17年には3年連続で全国ツアーを行い、17年は2日間の日本武道館公演を成功させた。ジャンルを超えた存在感を発揮し、現在6カ国7都市を回る初のワールドツアーを開催中。

恥をかいてもいいから踏み出さないと

−初めてのワールドツアー、おめでとうございます。ニューヨーク公演への意気込みをお聞かせください。

 この機会をいただけたことには、何ものにも代えがたい幸せを感じていますし、「愛情」と「リスペクト」をもって臨みたいと思っています。
日本の音楽シーンは特殊で、いろんな制限もあり、やらなければいけないことも多くあります。でもその中でいろんな方向でエンターテインメントする能力は身に付けてきたし、まずは「恥をかいてもいいからとにかくこの1回目を踏み出さないと!」と思っています。今回は次の10回、20回目の挑戦への第1歩です。ただの記念の1回ではないんです。ダンサーも一緒に連れて行き、成立する何かを1つを見付けたいんです。

−ニューヨークにまつわるエピソードなどはありますか。

 姉も実はニューヨークにいて。英語も当然、初めはできなかったのに、「日本だけにいるのは無理」と言って渡米しました。マンハッタンに住み始めたと聞いたときは、姉も成長しているなと思いましたね。友人のラッパー、Kohh(コー)は(アメリカを含む)海外でも活動していて、彼もまた(姉のように)かなり自由な人間でね。

−共演したい米国人ラッパーは?

 いっぱいいます。LAでたまたま知人の紹介でお会いした方とそのまま流れでご一緒させていただいたり、そんな感じで、たくさんの方とコラボするため、常にアンテナを張っていたいと思います。国籍、年齢、人種、性別など、全く関係なく。

−ワールドツアーでは、それぞれの国で演出を変えたりなどしますか?

 国内ツアーと海外ツアーは、それぞれ趣を変えています。最近のアメリカの音楽シーンではアジアを意識しているものも多いので、今回はアジアのテイストを取り入れています。それを欧米でもチャレンジしてみたいんです。

−海外へ進出するまでの道のりはいかがでしたか。

 少し遠回りだった部分もありますけど、全体的にはいい道だったと思っています。日本の音楽シーンで多くのことを勉強して、とにかく自分の武器を多く持つことができたので、今後も日本だけでなく海外でも活動していくつもりです。

−新曲「Marble」のMVも公開されましたね。ライティングが特に印象的でした。

 MVでは全面に色がついているのに自分だけ色がない、またその逆もあって。スパイキー・ジョン監督が連れてきたハリウッドのライティングエンジニアが手掛けてくれました。もしライブでこのライティングを出すとしたらスタジオごと持っていかないとできないんですが、ワールドツアーはライブハウスなので。でも今回は、肉体的な演出を楽しんでもらえると思います。踊ることも含めて。

−歌詞を各国の言葉で変えてみたりなどは?

 日本では「(ステージで)ラップしながら会話する」っていう、音楽を使った演劇とかコントに近いことをやっていて、かなりハマっているんですけど。でも実は弱点がありまして。日本語だからほかの国の言葉ではできないっていう(笑)。ただ、これを少し変えてやったらどうなるかな、と探っているところです。

−エンターテインメントの要素が強くなりますね。

 「トライ・アンド・エラー」でもいい、これを「トライ・アンド・サクセス」に変えられるならいいなと。まずはチャレンジが必要なんで、ここからうまく作り上げていきたいですね!

−実現したら今回のワールドツアーの見どころの1つになりますね。

 そうですね。英語も堪能ではないですが、そこにどうやって立ち向かうか、足りないものは何なのか、どこまで通用するか、自分の目で見極めたいです。死ぬ間際に、「あれもやれたのかも」と思いたくないので。後悔はしないように。

−SKY-HIという名前は世界中の人に覚えてもらえそうですね。由来は何でしょう。

 ある先輩につけてもらったんです。本名でレーベル契約していたので、アンダーグラウンドの活動は本名ではできなかったんですね。なので、その先輩が「日高という名前は、日=太陽、とか、高=高い、Hiの意味があるから、SKY-HIがいい!」と。無限の可能性がある感じで、ぴったりハマりました。海外の方から「SKY」って呼ばれることもあってうれしいです。

−最後に、ニューヨークの読者にメッセージをお願いします。

 自分でもすごく愛情にあふれた環境にいられて、多様性も持てていると思うんです。音楽的にも人生的にも。今回このようなチャンスに恵まれ、ここまで来れました。どこかでお会いできるときには、日本のルーツに誇りと喜びを見いだせるような存在としてやっていきたいので、いろいろなことに挑戦しながら必ず成功したいと思います! ぜひ会場でお会いしましょう!

「SKY-HI Round A Ground 2017 海外公演」
ニューヨーク公演

【日時】11月15日(水)19:00開場、20:00開演
【場所】SOB’s
204 Varick St
(bet. W. Houston & King Sts.)
【料金】40ドル(一般)、85ドル(VIP)
【チケット購入】
www.ticketweb.com/t3/sale/SaleEventDetail?dispatch=loadSelectionData&eventId=7656295
※入場は18歳以上に限ります

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