ジャーナリストの武末幸繁さんと娘さん2人の家族に、美亜(ミア)が加わったのは6年前。以来、やんちゃな美亜に振り回されっぱなしです。
——美亜との出会いは?
幼いころに、飼っていた犬や猫が亡くなるのをたくさん見てきてつらかったので、もう二度と動物は飼うまいと決めていました。でも、レイクピークスキルの一軒家に引っ越したのをきっかけに、健康のためと娘たちに番犬が必要かと思い、また飼おうかなという気持ちになりました。
娘が散歩しやすいように、あまり大きくない犬にしようと思っていたんですが、ヒューメインソサエティーに行って美亜の目を見たら、小学生のときに飼っていた雑種のクロと同じ目をしていて、この子を飼おうと即決しました。
——どんな性格ですか?
最初のころは知らない人間や同じブリードの犬に突撃していくようなアグレッシブなところがあり、僕の言うことにも耳を貸さなくて、正直手を焼きました。前の飼い主が散歩にも連れて行かず、ガレージにつなぎっぱなしにしていたせいだと思います。
ドッグトレーナーに預けてトレーニングも受けさせたんですが、頭がいいものだから、トレーナーがいるとおとなしいんです(笑)。一度会っただけの人のこともよく覚えていて、友達になれれば、とてもいい犬です。
——これまでに印象に残るエピソードを教えてください
娘が散歩に連れて行ったときに、走っている車を熊か何かと勘違いして飛びかかっていって、激突したことがあります。電話で知らせを受けてすぐ現場に駆け付けたところ、運転手は「犬、大丈夫ですか?」って心配していましたが、僕は「車、大丈夫ですか?」って聞いてしまいました(笑)。
だから番犬としては抜群です。隣の家に空き巣が入ったことがあり、そのときもすごく吠えたんですけど、近所迷惑になると思って、僕が叱って家の中に入れてしまったばかりに捕まえ損ねてしまいました。
——どんなときに癒されますか?
いつもかわいいんですが、僕が家に帰ると目の色を変えて走ってきて、喜びを爆発させるときなんか、特にかわいい。ベタベタすりすりしてくるので、思わず顔が緩んでしまいます。
——武末さんにとって美亜の存在とは
家族ですね。アグレッシブで力も強い。娘たちはおとなしい方なので、お転婆というか、やんちゃな娘がもう1人いるようなものですね。
【 教えて!シンゴ先生 】
アニマルシェルター/動物病院のヒューメインソサエティー・オブ・ニューヨークで獣医師として活躍する添田晋吾先生にペットの健康について聞きました。
添田晋吾
1995年山口大学農学部獣医学科卒業。2000年に来米し07年に米国獣医師免許を取得。ヒューメインソサエティー・オブ・ニューヨークに勤務する傍ら、東洋と西洋の医学を併用し、老犬のペインコントロールやQOLの向上を目的とした獣医療にも取り組む。
Q 犬の散歩で注意すべきことを教えてください。
A 飼い主のみなさんは既にご存知だと思いますが、毎日外を散歩する犬にはたくさんの予防接種が必要です。狂犬病ワクチン、5種混合ワクチン、ノミダニの予防、そしてニューヨークではハートワームの予防が最低限必要です。地域によってはこれに加えて、ライム病やレプトスピラ症のワクチンも必要になります。
しかし散歩で一番気を付けなくてはいけないのは「事故」です。車はもちろん、自転車や歩行者との接触事故も注意しましょう。足を踏まれただけでは済まず、骨折することもあります。
拾い食いにも注意してください。犬猫の下痢や嘔吐の原因の8割以上が食べた物に起因しているとされます。人の食べ残しやお菓子が道に落ちていることもあります。除草剤、殺虫剤、そして殺鼠剤などが散布されている所もあります。犬によっては食糞行動がある子もいます。また、他の犬にアタックされたり、予期せぬ事故が起きたりする可能性もあります。
一番重要なことは、「飼い主は散歩中に犬から絶対に目を離してはならない」ということです。最近は携帯電話を使いながら、いわゆる「歩きスマホ」で犬を散歩させている人をよく見かけますが、危ないだけでなく、犬の習性や状態を観察する貴重な機会を逃すことになります。また引き綱が伸びるタイプのものも、犬をうまくコントロールできないので危険です。ニューヨークでは、引き綱は6フィート(183センチメートル)未満と決められていますのでご注意を。
散歩中に愛犬の安全を確保し、危険から守ってあげるのは飼い主の役割です。必要な予防注射をして、散歩中はワンちゃんから目を離さないようにしましょう。