TEISUI

ニューヨークで本格的な焼き鳥が食べられる店は少ないが、そのうちの1軒がマンハッタン区のノマドにあるTEISUI。焼き鳥の認知度向上に貢献する同店が新たな試みとしてこのほど、江戸前寿司の提供を開始した。

焼き鳥と寿司、どちらもしっかり

 秋田県は男鹿半島、目の前に日本海を臨む温泉旅館「帝水」を経営する(株)オールフロンティアが、米国初の事業として2016年に始めたのがTEISUIだ。この店の核であり、店内の中央に存在感を放つ広い焼き場からは、焼き鳥の香ばしい匂いが漂ってくる。同店の看板メニューである焼き鳥は、日本と同じ高い品質を維持するため、串うち作業から全て熟練の技を持つ日本人スタッフのみで行っている。
 開店から1年半、ニューヨーカーが好む目新しさと、日本人の期待を裏切らない料理を提供するため、あくまで「焼き鳥店」という姿勢は崩さず、食材の選定、懐石スタイルからカジュアルな居酒屋スタイルまで、これまで日々試行錯誤を繰り返しながら改良を重ねてきた。その甲斐もあり、地域で少しずつ認知度が高まり、「高品質でリーズナブルな店」と評判も上々。内装もおしゃれなため、ワインで焼き鳥を楽しむニューヨーカーや女性のグループもかなり多く、常連客も着実に増えているという。8〜12人用の完全個室もあるため、仲間とのパーティーや接待などにも最適だ。

焼鳥 2

 TEISUIを経営するAll Frontier America社長の長谷正治さんは寿司を始めるに当たり、「ニューヨークで和食店と聞いて、寿司を期待されるのは当然。オープン当時からお客様から寿司の要望はかなり多くありましたが、私たちの看板である焼き鳥が定着してきた今、満を持して寿司を提供できる環境が整いました」と話す。TEISUIの新たな顔として、寿司職人の田口和伸さんも仲間入りした。ニューヨーク屈指の老舗和食レストランで約10年近く寿司を任された経験があるというから、その腕は確かだ。「焼き鳥が予想以上にしっかりと作られているので、それに劣らないものをお届けしたい。焼き鳥に寿司や刺身を付けたコースの提供なども考えています」と田口さんは意気込む。

新たに加わった田口和伸さん

新たに加わった田口和伸さん

すし 2

 メニュー作りや値段設定などは長谷さん、田口さん、ゼネラルマネージャーの吉村祐一郎さんの3人でアイデアを出し合い決定する。試作品開発はほぼ毎月行っており、採用するメニューの値段に関しては、10セント単位まで議論し、時にはその話し合いが朝まで続くこともあるという。「ノマドで日本人が経営する和食レストランは現在われわれだけ。TEISUIに足を運んでくれる人が増えることで、この街の素晴らしさを知ってもらい、地域全体の発展に尽力することができればうれしい」と、ノマドへの愛着と感謝の想いを込めながら語る。
 競争の激しいニューヨークでの1年半は決して楽なものではなかったが、自分たちの和食をできるだけ多くの人に食べてもらうため、失敗する度に議論、研究を重ね、立ち上がってきた。焼き鳥と同様、寿司も「おいしくかつリーズナブルに」を守っていく。「ここは毎日来ても飽きない店だね、と言ってもらえるような店にしたい」と長谷さん。まずはロール5品(11〜18ドル)、にぎり(4〜8ドル50セント)、おまかせ5品(25ドル)などからスタート。焼き鳥と寿司を2本柱とした、新しいスタイルのレストランの可能性に期待がかかる。

staff 2

焼酎半額、ランチも開始!

 40種類以上そろう日本酒やビール、ワイン、果実酒の他、食事の充実と並行して焼酎もメニューに加わった。焼き鳥、寿司、アラカルトを、自分の好みのドリンクと組み合わせて堪能できる。11月30日までは本紙読者限定で、焼酎ボトルが半額になるキャンペーンを実施中。注文の際に、「デイリーサンを見た」と伝えるだけ。ボトルキープも可能となっている。
 さらに、11月中旬よりランチの営業も開始。寿司とロールのセットや各種丼物、うどん、カレーなどをリーズナブルな値段で提供する。

TEISUI
246 5th Ave. (@ 28th St.) 917-388-3596
www.teisui.nyc
※焼き鳥の提供はディナーのみ ※プライベートルーム完備(8〜12人用)