猫との暮らしが長かった河村隆子さん。次に出会った犬の文太(ぶんた)は病気がちで、何度も緊急病院に駆け込んだそうです。
——文太との出会いは?
猫を30年間飼ってきて、最後は5匹同時に飼っていました。最後の1匹を看取って1年後にやって来たのが文太です。うちの近所は犬を飼っている人がすごく多くて、みんな犬のことばかり話しているような環境なんです。なので、次は犬もいいかも…なんて話を娘にしていたら、ある日娘が、「ママ、見つけた!」って子犬の写真を送ってきて。レスキュー団体「in our hands resucue」に、前日マイアミの施設から到着したばかりの4カ月の子でした。心の準備はできていなかったんですが、娘に押し切られました。
——文太との暮らしはどんな感じですか?
病気がちで大変です。去年初めてヘアカットに行ったときに、カミソリ負けして熱が出て歩けなくなり、急いで医者に連れて行きました。その次は急に目が開かなくなり、緊急動物病院で診てもらったところ、神経性の病気で、一生このままかもしれないと言われてしまって。でも6カ月通院して、目を毎日3回洗浄して、薬をヨーグルトに入れて食べさせたりしていたら、治ったんです。獣医さんも驚いていました。
今年の5月には突然吐いて血便が出たのでまた緊急動物病院に連れて行ったら、出血性胃腸炎との診断。疲れやストレスが原因と言われました。世話も大変ですが、病院に払うお金がこれまたすごく高くて。ペットを飼うときは、病気になったとき、どれだけ世話をできるかの覚悟が必要です。皆さんには「まずは保険に入ってください」と言いたいです。
——文太と暮らしてよかったと思うことは?
何度も病気をしてつらい思いをしましたが、命あるものだからいい加減なことはできないと責任の重さを学びました。でもその分、喜びは何十倍にもなって返ってきます。ちょこまか動いているだけなのに、生き物が近くにいるだけで温かい。いろんなことで余裕がなくて頭の中がパツパツになっているときにも、私の気持ちを察して側にやってきてくれます。帰宅してドアを開けると、くるくる何度も回って全身で喜びを表してくれるのもたまらない。
うちの息子たちも文太が来てからケンカをしなくなりました。2人が怒鳴り合っていても文太はきょとんとしているので、バツが悪くなるみたい。下に弟ができたみたいな感じで中和剤になっています。散歩に行くと、近所の人たちが声をかけてくれるのも大きな喜びです。
——河村さんにとって文太はどんな存在ですか?
家族です。いて当然な存在なので普段は気にならないのに、いなくなると、なんでいないんだろうと思ってしまう。運命共同体ですね。
【 教えて!シンゴ先生 】
アニマルシェルター/動物病院のヒューメインソサエティー・オブ・ニューヨークで獣医師として活躍する添田晋吾先生にペットの健康について聞きました。
添田晋吾
1995年山口大学農学部獣医学科卒業。2000年に来米し07年に米国獣医師免許を取得。ヒューメインソサエティー・オブ・ニューヨークに勤務する傍ら、東洋と西洋の医学を併用し、老犬のペインコントロールやQOLの向上を目的とした獣医療にも取り組む。
Q ホリディーシーズですが、ホームパーティーを開く際の注意を教えてください。
A まずは、あなたのペットが多くのゲストに耐え得るか判断しましょう。ゲストがいる間ずっと吠え続ける犬や、ゲストに極度にストレスを感じる猫もいます。逃げ場になるような場所を確保したり、ベッドルームに避難させたりするのもいいでしょう。また、ペットのデイケアに預けるのも、事故を避けるための選択肢の1つです。
万が一のために、狂犬病ワクチンをアップデートしておきましょう。噛んだり引っ掻いたりといったトラブルになった場合に、最悪の事態は避けられます。慣れない子どもが小型犬を落として骨折をしてしまうことがあるので、お子さんが参加するパーティーの場合は、ペットを抱き上げないように伝えましょう。また、観葉植物や花の中には、ペットに有害なものもあります。この時期は、ポインセチアやユリ属の植物を置かないようにしましょう。
一番気になるのは食べ物ですね。犬は、おいしいものがもらえるのではないかと愛想を振りまき、ゲストも少しだけなら…という気になってしまいがちです。みんなが少しだけ与えても、合計するとかなりの量になり、中には与えてはいけない食べ物もあるので、ペットに食べ物を絶対に与えないように伝えましょう。また、骨やトウモロコシの芯が消化管に詰まって、犬が病院に連れて来られることがよくあるので、ふたつきのゴミ箱を用意して、ゴミを漁れないようにしましょう。
こうした点に注意して、ペットと共に素敵なホリディーをお迎えください。