【26日付NBCニューヨーク】鉛含有塗料が使用されたブロンクス区の公共住宅に居住し、鉛中毒になった女児(12)の母親が、「適切な対応を怠った」としてニューヨーク市住宅局(NYCHA)を訴えていた裁判で、陪審団は26日、原告に5700万ドル(約62億円)を支払うよう命ずる評決を下した。
テイラーさん一家は1999年、同区フォートインデペンデンス通り3353番地にある公共住宅に入居した。カビとペンキのはがれについて同局に何度も苦情を訴えたにもかかわらず、対応が全くなされなかった。米疾病予防管理センターの基準によると、子どもの血中鉛濃度が1デシリットル当たり5マイクログラムを超えると高濃度とみなされるが、2005年9月に生まれた娘のダコタさんが5歳当時に受けた検査では、同45マイクログラムの鉛が検出されていた。
NYCHAは、この結果を受けて初めて同住宅での鉛検査を行い、鉛含有塗料の使用やペンキのはがれを確認。その1カ月後、鉛除去作業を行ったが、ダコタさん側の弁護士は、「既に損害を被っている」と対応の遅れを指摘していた。
NYCHAは鉛検査を怠り、データ改ざんしていたことが昨年11月に判明、今月22日、同副局長が辞任している。