元気の道しるべ Story 7  【 小児ぜん息(小学生から中学1年生)、 慢性鼻炎(小学生から50歳)、掌蹠膿疱症(40歳から60歳) 】清水恒仁さん(65)

元気の道しるべ Story 7
病気になって初めて気づくこと、始めた習慣、出会えた人。
病気をプラスに捉えたら、人生が違って見えてくる。焦らず慌てず生きましょう。

自分を治し元気にするのは自分だけである
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 【 小児ぜん息(小学生から中学1年生)、
慢性鼻炎(小学生から50歳)、掌蹠膿疱症(40歳から60歳) 】
清水恒仁さん(65)

 自ら開発した「筋肉を緩める痛み解消メソッド」で、体の痛みに悩む老若男女を癒し、食事・デトックス・運動の多面的なアプローチでマイナス10歳の体づくりのお手伝いをしている清水さん。著書の電子書籍「痛みよサヨナラ!筋肉をゆるめると80%の痛みがなくなる」は、アマゾンKindleのノンフィクション・伝記部門で1位を獲得。整体師、民生委員の傍ら高齢者の健康指導を行い、福岡県豊前市の委託講師として特別講座を開いたりラジオ番組に出演したりするなど元気な人を増やす活動を続けている。

ぜん息と慢性鼻炎に苦しんだ子ども時代
 清水さんは1952年、福岡県北九州市に8人兄妹の3男として生まれ、日本の高度経済成長期に幼少時代を過ごした。工業都市だった北九州市では、工場の煙突から吐き出される化学物質による七色の煙が「経済発展の証」と聞いて育った。きれいな海が工場排水で汚染され、ドロドロになっていくのも見てきた。
 幼いころの清水さんは、冬に風邪を引くとまず喉がやられてぜん息となり、呼吸困難になった。お父さんが別の部屋で吸っているたばこの煙が流れてくると、たとえ薄い煙であっても呼吸が苦しくなった。常に鼻がつまった状態で、いつも口で呼吸をしていた。中学生になり柔道を始めてからぜん息は改善されたものの、慢性鼻炎は続いた。

29歳で少林寺拳法を始める
 社会人になった清水さんは土木系のゼネコンに勤務し、工事現場の施工を管理する、いわゆる現場監督の仕事に就いた。「29歳のころに担当していた現場は化学工場で危険物が多く、残業は原則禁止でした。だから普段は夕方5時の定時上がりで、寮に帰宅してすることといえば、酒を飲むか、仲間4人で四角い台を囲んで中国語の勉強(麻雀)をするかでした」。やがて「酒ばかり飲んでいてもしょうがない」と、少林寺拳法を習い始めた。後に「これが筋肉を緩めることとの、出会い」だったと振り返る。

20年間続いた掌蹠膿疱症
 40歳のときに担当していた現場は土日の休みも取れないほど忙しかった。逃げ出したい気持ちを抑えて無理に仕事を続け、ストレスがピークに達したとき掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)を発症した。
 日本皮膚科学会の説明によると掌蹠膿疱症は、ウミが溜まった膿疱と呼ばれる皮疹が手のひら(手掌)や足の裏(足蹠)に数多くみられる病気で、周期的に良くなったり悪くなったりを繰り返す。皮疹には小さな水ぶくれ(水疱)が生じ、次第に膿疱に変化しその後、かさぶた(痂皮)となり、角層(皮膚の最表層にある薄い層)がはげ落ちる。皮膚がポロポロとはがれ神経を刺激するため痛い。清水さんの手の指の爪は全部はがれ落ち、爪がないので床に落ちたコインやカードが拾えず、手で髪を洗えないことからブラシを必要とした。
 掌蹠膿疱症は生死にかかわらない病気のため研究者がおらず、情報が限定的で対処療法はステロイド投与のみだった。しかし清水さんは対処療法では治らないと知っていたので、これを拒否。食事内容を見直して、揚げ物と甘いものをなるべく摂らないようにし、断酒した。ちょうど社内で公募があった早期退職制度を利用して職場を離れ、5年後の60歳で同症を克服した。

独自の健康法を開発 
 宗道臣(そう どうしん、少林寺拳法の創始者)に心服し30歳を前にして始めた少林寺拳法を学ぶ過程で股関節や筋肉を緩める必要を感じ、ストレッチの研究を開始。その後、ヨガ、断食、呼吸、気功、中国武術、整体の勉強を通して痛みの原因は、そのほとんどが筋肉の凝り(硬結)で、健康な体をつくるには筋肉を緩める必要があると気づいた。さらに小児ぜん息、慢性鼻炎、運動能力不足、掌蹠膿疱症など自らの体験を通して開発した独自の健康法とそれを解説した自著「痛みよサヨナラ!」を昨年、発行。筋肉を緩める一例として、「例えば口角を緩めるには、①息を吐く②舌を出す③笑う。この3つを一緒に行うのが最も効果的です。人間は力むときにアゴを噛み締めます。そこでこの状態を開放することで筋肉を緩めるのです」と教えてくれた。
 心身を健康に保つ重要なもう1つのポイントとして、清水さんは日本人に合った食事を挙げる。農耕民族の日本人と、狩猟民族の欧米人とでは、体に良いとされる食事だけでなく、味覚や食の嗜好も異なる。「日本人にとって最適な健康づくりとは何か、を見つけていきたい」との思いと、「痛みを訴える人をその目で見て、健康づくりのアドバイスをしたい」と、自らを「和のヘルスあい」(あいはeyeのこと)コンサルタントと命名。軽妙酒脱な人柄もあり、幅広い年齢層に人気があるという。
 「医者や薬ばかりに頼らず、自分の体は自分で治す。逆に言えば、自分を治し元気にするのは自分しかいないことを伝えたい。日本に元気な人を増やし、社会を元気にすることに自分が少しでもお役に立てれば幸せです」

29歳から始めた少林寺拳法。宮城県の演武大会で

29歳から始めた少林寺拳法。宮城県の演武大会で

清水さんの元気の道しるべ
❶ 感謝の気持ちをもつ
❷ 人間は自然の一部であると自覚する
❸ 自分の使命に気づくことができたら、
それを社会のために実行する

取材・文/渡辺奈月 ヘルス&ウェルネス・コンシェルジュ。米国でファンクショナルメディスン(機能性医学)を学び、ヘルスリトリートにも多数参加。自らの体験も含め知見を深めながら健康や心のあり方に関する情報を発信し、子どもから高齢者まで健康指導も行う。ブログhttp://gogonatural.weebly.com