【2月27日付ニューヨークタイムズ】ニューヨークのビル・デブラシオ市長はトランプ政権発足直後、約50万人の市で暮らす移民を連邦政府の厳しい取り締まりから保護すると宣言していたが、今では移民にとって安全な「サンクチュアリーシティ(聖域都市)」ではないようだ。
同政権発足から1年後、連邦政府はニューヨークやシカゴ、フィラデルフィア、サンフランシスコ市など、不法移民に寛容な政策をとる全米の聖域都市への連邦助成金停止を発表。不法移民の逮捕を強化し、各市に移民税関捜査局(ICE)への協力を迫った。昨年、全米における移民の逮捕者数は前年比41%増だった。市警察(NYPD)は不法移民の逮捕者をICEに引き渡さないことを前提としているが、実際にはICEと情報を共有するニューヨーク州に逮捕情報を提供し、間接的に協力している。
ニューヨーク大学法科大学院移民政策研究所所長のムザファー・チシティーさんは、「市は聖域都市とは呼べない。ICEに全面的に協力し、移民を市から常に強制送還している」と指摘した。
トランプ政権発足以来、市では犯罪歴のない移民の逮捕数は3倍以上増えており、昨年の逮捕者2976人のうち899人は、刑事上の有罪判決を受けたことがなかった。16年はこれが1762人のうち250人だった。オバマ政権下では、犯罪歴のない不法移民は強制送還の対象とならなかった。