【1日付ニューヨークタイムズ】アートを通じて戦地などで従軍中に受けた精神的トラウマ(PTSD)を癒そうと、米退役軍人省が毎年開催しているアートコンテストの地区予選通過者がこのほど発表され、ニューヨーク地区では共にブルックリン区在住のサラリン・ルイスさん(70)とネリージャ・コックスさん(60)の作品が選ばれた。今秋アイオワ州デモイン市で開催される全米大会に招かれる。
ベトナム戦争に従軍したルイスさんの作品は、半年かけて製作した木彫りのサソリ。幼い頃から何かを作ることでつらいことや悲しいことを克服してきた。「吃音だったので言いたいことを絵に描いた」と話す。従軍中に性的暴行を受けたときも作品に思いをぶつけることで救われたという。コックスさんは1980年代に西ドイツなどで従軍。同じく性的暴行を受け、自殺を考えたこともある。セラピーとして刺繍を開始。「毎日こつこつと刺繍をして忌まわしい記憶を消した」という。エジプト模様の刺繍を習熟し、12年かけて色鮮やかな大作を完成させた。