ファッションライターあやこんぶの“おしゃクロ!” Vol.41  世界に通じるジェントルマンの掟を学ぶ!Global Tailoring

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 紳士服づくりの奥深さ。それは地域文化や伝統に裏打ちされたデザインがあるからでしょう。

英国紳士の品格、ナポリのエレガンス、そして日本の真摯なものづくりを巧みに取り入れたトライベッカにある高級メンズウエアストア、アーモリー。武器庫という意味から名付けられたように、戦闘前の兵士が武器を装備するかのように、紳士に必要なスーツ、ジャケットはもちろん、靴、傘、タイなどの小物から香水まで、身の回りのものが一式揃います。とくに仕立てには力を入れ、世界各国の名テーラーが定期的に訪れ、さまざまななスタイルを提案しています。
 

©The Armoury / Paolo Dequina G・ブルース・ボイヤー氏

©The Armoury / Paolo Dequina G・ブルース・ボイヤー氏

 True Style: The History and Principles of Classic Menswear by G. Bruce Boyer

True Style: The History and Principles of Classic Menswear by G. Bruce Boyer

 

 2月某日、同店共同創始者のマーク・チョー氏、メンズウエア歴史家であり紳士服指南書「トゥルー・スタイル」著者でもあるジャーナリストのG・ブルース・ボイヤー氏、フィレンツェの伝説のスーツ職人を追ったドキュメンタリー作品を手がけたフィルムメーカーのジャンルカ・ミリアロッティ氏の3名による、「グローバル・テーラリング」をテーマにしたトークセッションが店内で開かれました。

 

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 専門家たちが店内の商品で例示しディテールを解説。たとえばイタリア製ひとつにも大きな幅があるといいます。ビジネス街、ミラノではフォーマルな装いが一般的で、構築的、クリーンなシルエット。そこには英国の軍服に共通するものが見られるようです。それに対して職人の街、ナポリ流の仕立ては優雅さが際立つもの。ソフトなラインでテーラーの手仕事が生きた緩やかなラインが特徴的。ルネサンス文化を育てたメディチ家が君臨した文化都市、フィレンツェのスタイルはそれら両都市とも違った独自のもの。ソフトでありながらこぎれいなつくり。そして柄の入った生地が生きるようフロントダーツがないのも特徴のひとつといいます。
 

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photo by The Armoury / Paolo Dequina
 

 そして興味深いことにクラシック・アメリカンスタイルのテーラーとしてアーモリーが一押しするのが日本勢。東京渋谷に店を構えるCAID(ケイド)は50年代のサックスーツを思わせるボックス型シルエットをアレンジしたスタイルを得意とし、外国からの来客も多いとか。狭いラペルとアンダーターツがトレードマーク。紳士の美学が世界を巡り、土地柄のテーラリングに学べるなんて、なんて乙なんでしょう。

 
 

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The Armoury
168 Duane St, New York, NY 10013
Tel (646) 613-7613
www.thearmoury.com

Tailor Caid
東京都渋谷区宇田川町42-15中島ビル2F
Tel 03-6685-1101
www.tailorcaid.com

『 I colori di Antonio / アントニオの色 』
www.icoloridiantonio.com

 
 

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フリー・ジャーナリスト
Aya Komboo
日本では数々の出版社で経験を積み、フリーランスへ転身。2006年よりロサンゼルスへ渡米し、現在はニューヨークを拠点にファッション/カルチャー誌などで活躍している。
www.ayakomboo.com