第7回 My 養生・不養生
「健康的な生活をしましょうね」と日頃から患者に説いている医療専門家。プライベートでも健康に気を遣っているかというと、どっこいそうでもなかったりして!? 先生がたの意外な素顔を直撃インタビュー。
鈴木麻也先生
ホットヨガで冷え性対策
翌日までポカポカが持続します
鈴木麻也
小児科専門医(日米)、小児血液・腫瘍専門医(米国)。日本医科大学卒業後、同大学病院で初期臨床研修。2010年来米、Harlem Hospitalで小児科研修、Memorial Sloan Kettering Cancer Centerで小児血液・腫瘍研修を修了。同がんセンターで小児がん免疫治療フェローとして新薬開発や臨床試験に従事。米国日本人医師会(JMSA)主催JMSA Life Science Forum 2018(4月7日NYUで開催)運営委員。
—才色兼備の鈴木先生にも悩みはあるのでしょうか?
ありますよ〜。私、冷え性なんです。特に手足がカチカチに冷たくなるんです。冷え性だと血行が悪くなる、血行が悪いからまた冷える…。悪循環ですよね。だから体が冷えないように、体の内側と外側から対策を講じています。
—具体的にはどんな?
ホットヨガを3年くらい続けています。すごく汗をかいて、体の中から温かくなるので。やっているときはもちろん温かいんですが、新陳代謝が良くなるせいか、翌日までポカポカが持続します。普通のヨガもやったんですが、物足りなくて…。冬の間は仕事が終わってから、夏は出勤前の涼しい時間帯に通っています。ホットヨガの前には必ず水を500cc飲んで水分補給、帰宅したらシャワーを浴びて寝ます。ぐっすり眠れますよ。冬、寝るときはレッグウォーマー。他にもタイツを履いたり、腹巻をしたりとあれこれ工夫します。使い捨てカイロも日本からいっぱい買って持って来ますし。カイロは背中に貼るといいみたいです。それと体が温まるものをなるべく食べるようにしています。冬は生姜やキムチを使ったメニューかな。
—冷え性対策を講じたことで何か変化はありましたか?
フットワークが軽くなって活動的になりました。以前は、寒いと出掛けたくなくて自宅にばかりいたけれど。先週末は「ニューヨークオープン」で錦織選手が準決勝に進出したので、観に行きました。(編集部注:インタビューは2月21日)
—スポーツ観戦はお好きですか?
大好きです。シーズン中はヤンキース。バスケットボールも観に行きます。NBAの他にカレッジバスケも。夫が去年まで3年間、ノースカロライナ大学(UNC)医学部に勤務していたので、UNCが出る試合はよく観に行きました。UNCはマイケル・ジョーダンの出身校で、とっても強いんです。
—多忙な毎日、「これ体に悪いなあ」と感じることは?
他の先生もそうだと思うのですが、食事を抜くことですね。特に研修医だった2年前までは本当に忙しくて、「ご飯食べる時間があったら寝ていたい」って感じでしたから。
研修医のころは午前5時半に出勤してすぐカルテをチェック、7時からは夜勤スタッフの申し送りを受けてその後、診察。9時からは指導医と一緒に回診。正午から午後1時まで研修医向けのヌーンレクチャー、1時から回診で決まったこと(治療方法や薬の投与など)の発注と連絡、夜6時に夜勤スタッフへ申し送り。残業して自宅に帰り着くのは8時半か9時でした。
—確かにご飯を食べる時間がないですね。
朝は病院のそばのベンダーで買うお砂糖2杯入りコーヒーで栄養補給。ランチはだいたいレクチャー中にささっと、小さなサンドイッチかピザ一切れで済ませていました。飲み物はソーダ! 水もほとんど飲まないので、トイレに行かない日もありましたね。午後8時半から9時ごろに帰って、夕食は、「茹でて混ぜるだけ」のソースを使ったパスタやチャイニーズのテイクアウト。それを6年間続けましたから、相当、体に悪かったですよね。
—今は?
今は夫と一緒に暮らしているので、夕食は2人で作っています。朝はシリアル、ランチはお弁当。水筒の中にお茶を入れて持参。ずいぶん向上しました。
—今、体に悪いなあと思うことは何かありますか?
「LINE」のパズルゲームにはまっていて、寝る前についやってしまうんです(苦笑)。ハマりすぎて、夜中に目が覚めると、またやってしまう。おかげで視力が落ちて、初めて近視用メガネを作りました。ゲームなんて、やったからって何にも得られないのに…。一体なんなんでしょうね。クリアしたときの音を聞くと快感なんです。
—小児がんを専門に選んだ理由は?
ハーレム病院での3年間の小児科研修中に1カ月、メモリアル・スローン・ケタリング・がん・センターでの小児がん研修に参加しました。ここは他の病院では治らないような子どもたちが集まっていて…、子どもたちの死にも立ち会いました。そのときの恩師の、「みんなが諦めていても、どんなに絶望的な状況であっても、子どもたちを救える治療方法や薬を探すのがわれわれの使命」という言葉に感銘を受けたのがきっかけです。スローンケタリングは臨床試験(スローンケタリング独自で、または製薬会社と共同開発した薬を投与する治療)の患者がほとんど。もちろん副作用について説明し、本人や保護者の同意を得て治療します。
—7月にご帰国とのこと、今後の予定は?
新薬を開発して臨床試験ができる病院や大学で、日本と米国をつなぐ仕事ができたらうれしいです。