性別に関係なく女の子たちの将来の夢が広がるよう、クイーンズ区フォレストヒルズのシャリータ・マニカムさんら母親2人が、女児の夢を写した姿を集めた子ども向けの写真集を制作している。5日、インターネットで出版への資金集めを始めた。順調に集まれば今年11月出版予定だ。
タイトルは「ラッド・ガール・レボリューション(超クールな女の子が起こす革命)」。大統領から科学者、警官や消防隊員など、さまざまな職業に扮した2歳から8歳の女児50人以上の写真30枚を掲載する。マニカムさんは「女性啓発本は過去に活躍した女性を取り上げることが多い。写真集を見て、自分自身の将来の姿を想像して夢を広げてほしい」と話した。
制作のきっかけは2016年の米大統領選。史上初の女性大統領誕生が目前に迫り、近所の母親たちと女性の職業選択について話した際に思いついたという。
「制限のない社会で生きてほしい」
出演モデルの日本人母
写真集に登場する女児のうち、3人は日本人の親をもつ。クイーンズ区に住む吉井ゆず子さん(39)の長女リリアナさん(7)はその1人で、ニュースキャスターの姿で写っている。吉井さんによると昨年11月、友人がインターネットでリリアナさんの写真を見たことがきっかけで、モデルとしての参加を誘われた。子どもたちに向けて「誰にでも同じようにチャンスは与えられるべき」というメッセージを伝える写真集の理念に共感し、参加させることを決めたという。
2017年のトランプ大統領就任以降、女性蔑視、人種差別とも取れる発言が公然とはびこっていることに大きな違和感と怒りを感じるという吉井さん。「男女平等」や「国境や人種を超えた平等な扱い」などの概念は、固定観念を持つ前の年齢の子どもの教育に大きく左右されると考えるのも賛同した理由の1つだ。
リリアナさんの将来の夢は消防隊員になること。モデル出演を頼まれたときには既に消防隊員のページの撮影が終わっていたため、キャスター役になった。リリアナさんは当初、写真集の意味をあまり理解していなかったというが、他の少女たちが米大統領やシェフなど、男性が多い職業の役になりきる姿を見て、写真集の完成を楽しみにしているという。
吉井さん自身も性への固定観念があることを気付かされた経験があると話す。当時3歳だったリリアナさんに消防隊員になる夢を打ち明けられたときだった。とっさに「男の子の職業じゃない?」と言いそうになり、はっと思いとどまった。
「子どもにとって職業に性別の制限はなく、成長する中で周囲の意見や社会状況に影響され、固定観念が形成されるのだとリリアナから教えられました」
吉井さんは「娘には人種や国籍、性別の制限のない社会で生きていってほしい」と話す。「自分のスキルや得意分野を思いきり生かせる職業に就いてもらえたら」