日本行きの資金集めています ブルックリン区の高校生

 7月に8日間の日本旅行を計画、クラウドファンディングで資金集めをしているブルックリン区ブラウンズビルのフレデリック・ダグラス・アカデミー高校第7校の英語教諭、ビジョン=エリック・ジョーダンさんと生徒ら計15人が2日、マンハッタン区のジャパン・ソサエティーを訪れ、日本美術を見学した他、日本語や日本式マナーを学んだ。
 ブラウンズビルはニューヨーク市内でも貧困率が高く、犯罪が多発する地域の1つ。ジョーダンさんによると同校の生徒の89%は黒人、10%はヒスパニック系だ。「多くの生徒が裕福とはいえない家庭に生まれ、犯罪を目の当たりにして成長してきた。自分がやりたいと思ったことは、行動さえ起こせば成し遂げられることを伝えたい」と話した。
 www.gofundme.com/Br2Jpnから寄付できる。目標金額は6万8400ドル。4日午前までに約1万9300ドル集まった。

ジャパン・ソサエティー訪問後、生徒たちは「日本旅行がますます楽しみになった」と話した (photo: Yuriko Anzai / 本紙)

ジャパン・ソサエティー訪問後、生徒たちは「日本旅行がますます楽しみになった」と話した (photo: Yuriko Anzai / 本紙)

日本語を教える上村さん(右)と話を聞く 生徒たち(photo: Yuriko Anzai / 本紙)

日本語を教える上村さん(右)と話を聞く
生徒たち(photo: Yuriko Anzai / 本紙)

 
地球の裏側、特徴ある文化の日本へ「海外、飛行機、初めてづくしでどうしよう!」
 2日、ジャパン・ソサエティーを訪れた同校の生徒らはギャラリーで長谷川等伯の屏風を見学。その後の日本語講座では、語学センター部長の上村知代さんが「おはよう」「私はアメリカ人です」などの簡単な日本語を教えた。生徒らは上村さんに続いて発音したり、隣同士で練習したりした。日本式マナー講座ではすしの正しい食べ方や、和式トイレの使い方を説明。生徒からは「和式トイレの流し方は?」「ショッピングモールはあるの?」などの質問が飛び交った。
 訪問のきっかけを作ったのは、語学センター講師の倉原一栄さん。ジョーダンさんらの取り組みを特集した地元紙の記事を読み、「金銭的な支援とは別の、もっと直接的な支援ができるのでは」と思い立ち、訪問を提案した。倉原さんは「生徒たちに『ミニジャパン体験』をしてもらい、良い刺激になればと思った」と振り返った。
 日本旅行は7月2日から、東京都、長野県、京都府などを回る8日間の日程。クラウドファンディングの資金に加えて、旅行参加を希望する生徒は1人595ドルの資金を負担する。ジョーダンさんによると、ほとんどの生徒にとって、資金の捻出は簡単ではないという。「多くの生徒が1人親家庭に生まれ、低所得者向け公共住宅に住むなど苦労している。そうした困難にもめげずに目標を達成し、自信をつけてほしい」と話した。
 生徒たちは同校のインターナショナルクラブに所属。訪問先に日本を選んだのは生徒たちだった。ジョーダンさんは「文字通り地球の裏側にあり、米国と全く違う、特徴のある文化を持つ日本を魅力に感じたのだと思う」 と話した。
 ニューヨークを離れたことがなく、飛行機にも乗ったことがないというファーミン・ナダルさん(17)は、ジャパン・ソサエティー訪問を終え、「日本旅行がもっと楽しみになった。海外も飛行機も初めて。興奮してどうしていいか分からない!」と話した。将来はファッション業界で起業したいというアイドルネージア・ラトレッジさん(18)は「街を歩く日本人の着こなしもチェックしたい」と話した。
 クラウドファンディングの締め切りは今月5日。目標金額が集まらなかった場合は旅行会社への納金を遅らせるか、日程を遅らせる、または参加できる生徒の人数を減らすしかないという。ジョーダンさんは「日程を遅らせると、3年生が参加できなくなる可能性がある。何としてでも目標金額を達成したい」と話した。

ジャパン・ソサエティーを訪れた生徒(右)ら。職員はおじぎで迎えた(photo: Yuriko Anzai / 本紙)

ジャパン・ソサエティーを訪れた生徒(右)ら。職員はおじぎで迎えた(photo: Yuriko Anzai / 本紙)

テキストを見ながら日本語の練習をする生徒(photo: Yuriko Anzai / 本紙)

テキストを見ながら日本語の練習をする生徒(photo: Yuriko Anzai / 本紙)