【7日付ニューヨーク・デイリー・ニュース】今年2月に改札を不正に飛び越える無賃乗車の取り締まり緩和が発表されて以降、ニューヨーク市内の地下鉄でスリが増加しており、取り締まり緩和との関連性が問われている。
取り締まり緩和開始から今月6日までに報告されたスリ被害は54件と、35件だった昨年の同時期と比べ54%増加。一方で、無賃乗車による逮捕件数は昨年の3168件から1193件へと62%減少し、召喚状の発行件数も昨年の1万58件から6883件へと32%減っている。マンハッタン区の次にスリ被害が多く報告されたのはクイーンズ区で、昨年の17件と比べ今年は26件と53%増加していたが、同区でも無賃乗車の逮捕件数は53%減少。この現象は市内全域で見られるという。
市警察(NYPD)のジェームズ・オニール本部長は当初、取り締まり緩和について「犯罪行為を許すことになる」と批判しており、ここ数カ月のスリ増加についても取り締まり緩和が影響しているとの見解を示している。これに対し、同方針を発表したサイラス・バンス・ジュニア検事の広報室長は「地下鉄構内での犯罪件数は全体的に8%減少しており、取り締まり緩和とスリ増加が直接関連しているとは考えにくい」と反論している。