新聞や雑誌、各メディアが刻一刻と変化している今。名門紙は変革を行い、報道の新時代を示唆した新ビジネスが起こり、メディアの未来はとても興味深く動いています。
ニューヨークタイムズ紙がBBCのデジタル配信を率先して行ったマーク・トンプソン氏をCEOに迎え、同氏の指揮の下、メディアとして最初にデジタル版購読者100万件を突破したのは2015年のこと。16年の米大統領選からよりその存在感を増し、CNBCの18年2月の記事によると、同紙は17年の第4四半期だけでデジタル版購読者を15万7000件獲得し、17年1年間で同社株は20%上昇。13年にアマゾンCEOのジェフ・ベソス氏が個人でワシントンポスト紙を買収し、ニュースルームのジャーナリスト数を増員、財政難から救い、変革を行いました。今年2月には医薬関連事業で成功した富豪のパトリック・スンシオン氏によるロサンゼルスタイムズ紙の買収締結が報道されたところ。
8日間のクラウドファンディングで1億ユーロ(約130億円)を獲得し誕生したオランダのオンラインメディア、コレスポンデントが今年、アメリカに上陸。これは完全有料購読制の広告に一切頼らないオンラインメディアとして、専門性の高い独立した編集体制をもって報道するという今までにないモデルが注目を集めています。
ニューヨーク市立大学には起業ジャーナリズムというコースがあり、こういった動きにいち早く目を向けています。朝日新聞社で記者、メディアディレクターなどを経験し、私費留学休職制度を利用し同コースに通う鮎沢尚(写真)さんは言います。「起業ジャーナリズムを推進するジェフ・ジャービス著の『デジタル・ジャーナリズムは稼げるか』を読みインスピレーションを受けました。このコースでは同氏による講義のほか、ウォールストリートジャーナル紙、ニューヨーカー誌、フェイスブックなどの会社訪問を含め、起業を実践するまでのアドバイスを細かく受けていきます。私の目指す市民ジャーナリズムのプラットフォーム、Sunriseを修了までの4カ月でブラッシュアップしていくのが目標です」。情報にあふれた現代、質の高い信憑性のある情報をどのように得るか、さまざまな形が今、続々と生まれています。
フリー・ジャーナリスト
Aya Komboo
日本では数々の出版社で経験を積み、フリーランスへ転身。2006年よりロサンゼルスへ渡米し、現在はニューヨークを拠点にファッション/カルチャー誌などで活躍している。
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