ニューヨーク野口英世記念会は21日、ブロンクス区のウッドローン墓地で、福島県出身の細菌学者、野口英世(1876-1928)の91回忌を開催した。同会は米国日本人医師会を中心に2013年に創設、野口の業績をたたえ、米国の日本人研究者を支援する活動を続けている。昨年は没後90年を記念し奨学金制度も設立した。式典には髙橋礼一郎在ニューヨーク日本国領事・大使、同会代表でコロンビア大学医学部教授の本間俊一さんらが参列した。
墓参会では、米国日本人医師会会長の柳澤貴裕さんが、福島県にある野口英世記念館理事長の八子弥寿男さんからのメッセージ「内閣府発行の野口英世アフリカ賞ニュースレター3月号で墓守事業のことが紹介されていた。皆さんの日頃の活動が認知されようとしている」を代読した。
野口は、1928年5月21日、高熱病ワクチン開発のために訪れていた西アフリカのラゴスで黄熱病に感染し死去。遺体は米国政府が特別に許可したチャーター船でニューヨーク市に運ばれ、ロックフェラー医学研究所(現ロックフェラー大学)が同墓地の一角を購入し埋葬した。
墓碑は長年、手入れがされず、劣化が進行。心を痛めた米国日本人医師会の有志が中心となり集めた4000ドルを投入し2008年、大規模な修復を実施、同年11月18日に除幕式と第1回墓参会を開催した。修復事業が契機となり13年、ニューヨーク野口英世記念会(HNMS)が発足した。
HNMS副代表の加納良雄さんは、「米国在住の日本人として、野口博士の墓の存在を広め、守り、功績を伝え、医学の道を志す若者を支援していきたい」と話した。メイン州から毎年参加しているという嶋村良三さん(85)は、「日本に里帰りした6年前、新聞でここに墓があることを知った。野口博士とは誕生日が同じ。とても尊敬している」と話した。