「さようならコロンバス」 フィリップ・ロスさん死去

 【23日付ウォール・ストリート・ジャーナル】20世紀後半の米国文学界を代表する作家、フィリップ・ロスさんが22日、うっ血性心不全のため亡くなった。85歳だった。
 ニュージャージー州ニューアーク市生まれ。 シカゴ大大学院で修士号を取得後、1959年に小説「さようならコロンバス」でデビュー。ユダヤ系米国人の恋愛模様を描き翌年、全米図書賞を受賞した。
 多様なテーマを選んだが、好んで扱ったのは、性、死、背信。性欲にさいなまれるユダヤ系青年をユーモラスに描いた「ポートイノの不満」(69年)はベストセラーとなり、映画化された。「背信の日々」(86年)、「父の遺産」(91年)で全米批評家協会賞、98年にピュリツァー賞を受賞。多くの作品は自伝的だが、ロスさんは自分の体験は物語の発端に過ぎず、「別人に発展する。その時点で自分を離れていく」と明かしていた。
 後年は、「エブリマン」(06年)「ネメシス」(10年)など短編小説を次々に発表。ロスさんは「(短編は)書きたいことを凝縮しつつもパンチを詰め込む。これは一種の技だね」と語っていた。

Wolf Gang

Wolf Gang