タクシー運転手また自殺 5カ月で5件目、借金56万ドル

 【27日付ニューヨークタイムズ】イースト川のブルックリン橋近くで23日に遺体が見つかり、身元はクイーンズ区のタクシー運転手、ユー・メイン・チョウさん(56)だったことが26日、分かった。家族や友人によると自殺とみられる。タクシー運転手の自殺はこの5カ月で5件目。
 ニューヨーク市タクシー労働者連盟の責任者、バイラビ・デサイさんによると、チョウさんは市が発行するタクシーの営業許可証(メダリオン)に56万ドル(約6000万円)の借金があった。市場価値は現在20万ドルにも満たないという。
 チョウさんはビルマ生まれ。来米後2011年ごろ、メダリオンを70万ドルのローンで購入したが業績が振るわず、娘の大学の授業料も妻のがん治療費も払えなくなっていた。行方不明になる直前の今月11日、ローンをクレジットカードで払おうとして拒否されていたという。
 今年2月、市庁舎前で自殺したタクシー運転手の男性は「業界の破綻は政治家に責任がある」とフェイスブックに投稿していた。

5.30 Update
 自殺を受け、タクシー運転手など100人以上が29日、市庁舎前でウーバーなどの配車サービスに対する台数制限や、最低運賃の統一を求めて抗議デモを行った。各メディアが伝えた。デサイさんは「多くの運転手が絶望の淵に追い込まれている」と話した。

市タクシー労働者連盟が公開したチョウさんの顔写真。同連盟のフェイスブック(@nytwa)より

市タクシー労働者連盟が公開したチョウさんの顔写真。同連盟のフェイスブック(@nytwa)より