【29日付WNYC】教諭の人種が子どもの教育に影響を与えることが複数の研究から分かっているが、市の公立校に通う子どもの40%以上が有色人種の男子であるのに対し、有色人種の男性教諭の数は全体のわずか9%に過ぎないという。
ジョンズ・ホプキンス大学のニコラス・パパジョージ教授のチームが実施した調査によると、アフリカ系の子どもは小学生のときにアフリカ系教諭が1人以上いた場合、高校での退学率が30%減少する。1人の教諭が多くの子どもに与える影響が長期にわたり継続することに、同教授らは驚いたという。また、地域で大卒者との接触が少ない低所得家庭のアフリカ系の子どもが教諭から受ける影響は大きく、早い時期にアフリカ系教諭と出会った子どもほど、教諭への信頼が高まるという。いくつかの調査では、教諭が同じ人種であった場合、州統一試験への出席率が上昇し、停学処分を受ける子どもの数が減少するとの結果も出ている。
市は有色人種の男性教諭育成プログラム、NYC・メン・ティーチを通して教諭の人種や性別の格差の解消に努めている。同プログラムは2015年の開始以来、646人の教諭を輩出。参加者の1人で、現在ブルックリン区の公立高校で英語を教えるジンバブエ出身のアーロン・ハリスさんは、「経済状況など同じような家庭環境の下で育った自分だからこそ理解できることがある」と話す。夢は子どもたちの「メンター」になることだ。
市は2021年までに、公立校の教諭全員に偏見是正教育を実施する計画だという。