1997年の来米以来、飼ったペットは、今いる子たちを含めると、ウサギ5羽、ハムスター16匹、猫7匹。下半身不随やがんを患った猫を含め、それぞれを精一杯見送ってきた清水ひろ子さん。現在は、「いい子に育ってほしい」との願いを込めた、いーちゃん(14歳、雌、 ドメスティック・ロング・ヘア=写真左)、「とっぽいからトッピー」と名付けたトッピー(9歳、雄、ドメスティック・ショート・ヘア)、ヤドカリ3匹との同棲生活です。
いーちゃんが14年前、清水家に来たきっかけは?
すぐ近くの家が火事で全焼して、その焼け跡に捨てられていたのが、いーちゃん。いーちゃんがやって来る1カ月前に野良猫をレスキューしたのですが、なんだか、やけにまったりしているなあと思ったら妊娠していて。そのとき既にわが家には猫のミューちゃんとみーちゃん、ウサギのピーターがいたので、やむなくブルックリンのASPCAに連れて行ったんです。そしたらお客さんに、「妊娠している猫はすぐ殺処分になる」と教えられて。すぐ引き取りに行くと連絡したときには既に薬で眠らされた後でした。たった1週間ですよ。そんなつもりで連れて行ったのではないので、ものすごくショックで大泣きしました。その1カ月後にいーちゃんに出会ったときは、罪悪感もあったと思います。「絶対に救いたい」と、あちこち引っ掻かれて血だらけになりながらレスキューしました。
—9年前に来たトッピーは?
ミューちゃんが20歳で大往生して、みーちゃんといーちゃん、ピーターもいるからこれ以上猫は飼わないって心に決めていたのに、お客さんから、「保護した猫がペットショップにいるから見に行ったら?」 と言われて、ついつい。そしたらなんとミューちゃんそっくり! 最初は心を鬼にして帰ったけど、翌日引き取りに行きました。ミューちゃんが亡くなって2週間後のことでした。
—いーちゃんとトッピーの性格は? 仲は良いですか?
トッピーは誰とでも仲良くなる。アテンションが欲しいタイプ。“焼け跡派”のいーちゃんはちょっと神経質。朝、私がなかなか起きないと、トッピーがいーちゃんを攻撃して「ギャ」と大きな声を出させるんですよ。でもご飯をもらってお腹いっぱいになったらお互いを舐め合って仲良く毛づくろいしてる(笑)。わたしが寝るときは、枕元にいーちゃん、トッピーが足元。
—清水さんにとって2匹の存在は?
私の子どもたちですね。動物と死別したら(悲しすぎて)二度と飼えないと言う人がいますが、私はそうは思わないです。「同じ魂を持った子がまたわたしのもとにやって来る」って思います。亡くなったそのときは悲しいけど、悲しみを引きずることはありません。下半身付随だった子も昔飼っていた子に似ている。ウサギのミミちゃんが亡くなった後もウサギの気配がしていて、そうしたらほどなくしてピーターがやって来た。私は思いっきり長生きするつもりなので、この先、何匹もの猫やウサギと暮らしていくだろうと思います。動物と一緒ならボケないですしね!
【 教えて!シンゴ先生 】
アニマルシェルター/動物病院のヒューメインソサエティー・オブ・ニューヨークで獣医師として活躍する添田晋吾先生にペットの健康について聞きました。
添田晋吾
1995年山口大学農学部獣医学科卒業。2000年に来米し07年に米国獣医師免許を取得。ヒューメインソサエティー・オブ・ニューヨークに勤務する傍ら、東洋と西洋の医学を併用し、老犬のペインコントロールやQOLの向上を目的とした獣医療にも取り組む。
Q ペットの目の病気について教えてください。
A 人間と同じように、犬や猫にもさまざまな目の病気があります。中でもよくみられるのが結膜炎と角膜炎です。原因は、外傷や細菌感染によるものが大部分で、外傷の場合、他の犬や猫とのけんかや異物の混入によるものが多いのですが、ブルドッグなど、鼻が短い短頭種犬は、散歩中に草むらに顔を突っ込んだときに草や枝などで眼球を傷つけてしまうこともあります。角膜の傷は強い痛みを伴いますので、目が開けられない、シバシバしている、涙が多く出るなどの症状が特徴です。角膜の潰瘍は、適切に治療しないと傷が大きく深く広がることがあり、治療が遅れると眼球を失うこともあるので早めに対処する必要があります。
人間では高齢者に多発する白内障や緑内障ですが、これも犬や猫にも起こりやすい病気です。白内障は眼球のレンズ(水晶体)が白濁する病気で、中心が白くなり視力を失います。遺伝性が強く、糖尿病などの代謝性疾患が原因で起こることもあります。緑内障は眼球内の水の流れに障害が起こり、眼圧が上昇してしまう病気です。激しい痛みや充血、眼球突出などが主な症状です。早期に対処しないと失明する可能性があるので、緊急疾患と考えていいでしょう。コッカースパニエル、柴犬、シーズーなどが好発犬種です。これらの病気以外でも、眼球内や眼瞼に腫瘍ができることもあります。
まだまだ目の病気はありますが、飼い主が注意すべきことは、涙や目やにが多く出ていないか、充血していないか、目の辺りを痛がっていないかなどの病気のサインを見落とさないことです。