【13日付AP通信】人々の健康志向とともに米国でも魚の消費が伸びているが、AP通信がこのほど行った調査から、魚の偽装や漁師を劣悪な条件の下で働かせているなど水産業界の実態が改めて明らかになった。
水産物の産地や加工過程を追跡するのは、対象が世界中に散在することから困難とされてきた。この問題を解決しようとブルックリン区で2004年に創業した魚のオンライン小売業社、シー・トゥー・テーブルは、米国の海岸沿いにある港や埠頭を拠点とする漁船が獲る「地元の魚」や「天然もの」のみを扱い、「持続可能な漁業」を支援するとして急成長。しかし同調査では、同社が昨年1月、ニューヨーク州ロングアイランドのモントーク産と称したマグロは、DNA検査の結果、インド洋または西太平洋中部から来た可能性が高いこと、同社と協力関係にある港は、実際は卸売業者や魚市場で、輸入魚や養殖魚、収穫禁止の魚を販売していること、同社が契約している魚卸売業者が使う船が、漁師を時給1ドル50セントで22時間、適正な食事や水も与えずに働かせていたこと、また、イルカやサメなどを殺していたことなどを突き止めた。
同社社長のシーン・ディミンさんは魚の偽装に関与したことを否定、声明文の中で「偽装した卸売業社との契約をただちに打ち切る」と述べている。