連載108 山田順の「週刊:未来地図」 人口減、人手不足から日本だけで進む 「女性残酷社会」(下)

ジェンダーギャップは144か国中114位

 女性が働くこと、男性と同じように職業を持つことはいいことだと思われている。なぜなら、職業生活は自分の夢の実現につながるからだ。男も女も同じように、自分の夢を実現できる社会がいい社会なのは間違いない。しかし、男であれ女であれ、単に生活のためだけの仕事に追われる生活は幸せなわけがない。
 しかも、その仕事がパートなどの時間労働や派遣などの契約労働ばかりで、いくら働いても男性よりも賃金が低かったら、それは苦痛ばかりの、女性にとっての残酷社会である。いまの日本は、これが進行しているのだ。
 「世界経済フォーラム」(2017年11月公表)の、「ジェンダーギャップ(男女格差)国別ランキング」によると、日本は144カ国中114位となっていて、過去最低順位を更新した。このランキングで、日本は毎年順位を落としているのだから、これは本当に恥ずべきことだ。
 ちなみに、1位はアイスランド、2位はノルウェー、3位はフィンランドと上位はみな北欧勢である。その一方で、日本と同じような下位には、134位エジプト、138位サウジアラビアなどのアフリカや中東諸国が並ぶ。日本社会は、どちらかと言えばこちらに近いのだ。ちなみに、アジアのトップは10位のフィリピンである。
 北欧諸国にしてもフィリピンにしても、たしかに女性たちは日本より生き生きしている。

これからは外国人労働者と職の奪い合い

 最近、日本政府は国民が知らないうちに、次々と方針を転換している。たとえば、この6月5日、「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)の原案で、事実上の新外国人労働者の流入拡大を認める方針を示した。安倍首相は、この日の経済財政諮問会議で「人手不足が深刻化しているため、一定の専門性、技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを早急に構築する必要がある」と述べている。
 これまで、日本は移民労働者を受け入れないとしてきた。しかし、抜け穴(外国人技能実習制度など)があるので、外国人労働者は年々増え、2017年10月時点で約128万人に達している。これを政府は、制度の改正などで、さらに増やす方針に転じたのである。
 もはや女性労働力では、サービス業における単純労働の人手不足は補えないという判断だろう。となると今後、日本女性は外国人労働者と仕事の奪い合いになることは確実だ。

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【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。
2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。
主な著書に「TBSザ・検証」(1996)「出版大崩壊」(2011)「資産フライト」(2011)「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)など。翻訳書に「ロシアンゴッドファーザー」(1991)。近著に、「円安亡国」(2015 文春新書)。

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