DR.高田洋平 FUNCPHYSIOの気になる体のはなし Vol.11 ボールを使って肩こり改善

 「肩こり」という言葉は、誰が言い始めたか知っていますか? 夏目漱石が小説「門」で「指で圧してみると、頸と肩の継目の少し背中に寄った局部が石の様に凝っていた」と表現したことが初めといわれています。

肩こりとは?
 肩こりの人は、脊柱に変形がみられる、肩を動かすと痛みを感じる、首の後ろから背中を覆う筋肉が固くなっているなどの症状が当てはまる人が多いです。肩こりとは、首から肩にかけての機能的障害が基盤にあり、それに伴って支持組織である僧帽(そうぼう)筋などに負担がかかっている状態です。
 僧帽筋は背中の皮下を占める筋肉です。上部、中部、下部と3つに分かれ、肩こりを引き起こすのは主に上部僧帽筋です。上部僧帽筋は後頭部の骨と頸椎につく靭帯から始まり、鎖骨と肩甲骨の先端まで伸びています。鎖骨や肩甲骨の上下運動や、頭部の動きによって頻繁に収縮します。今回は上部僧帽筋のセルフケアを紹介します。

図1のコピー

自分でできるストレッチ
 小さめのボールを1つ用意してください。首から肩にかけて張っていると感じる部分にボールを当てます。壁の角(柱やドアフレームのような場所)を探し、足を前後に開き、腰を90度おじぎをするように曲げ、壁と張っている筋肉でボールを挟みます=写真右上=。この状態から壁に向かってタックルをするようにボールを押し当て、張った筋肉が痛気持ち良いと感じる程度にストレッチしてください。ボールを上下左右に動かしながら、30秒間のストレッチを数回繰り返しましょう。肩の軽さを感じると思います。
 ただし、肩こりの根本原因は、立ち、座りの姿勢、肩以外も含めた過去のけが、日常生活の動きのくせ、体の他の部位の弱さなどさまざまです。肩こりに対しても体全体の構造を考慮し、1人ひとりに必要な治療を進め、症状の改善に努めなくてはいけません。ファンクフィジオでは、身体全体の構造や機能を考慮してアプローチします。気になる症状がある人は当院にご相談ください。

図2のコピー

押本理映 (FuncPhysio日本支部代表)
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PT(日本の理学療法士)免許を2011年取得後、大学病院で臨床経験に励む。ダンスを中心とした芸術スポーツ分野のリハビリを学ぶために15年来米。NYUハークネス・ダンス・センター、高田洋平氏の下で徒手療法を学ぶ。専門分野はダンサーのスポーツ障害。10代でロシアにバレエ留学した経験を持つ。r.oshimoto@funcphysio.com